第89話 勉強会
絢斗のマンション前
虚無「ちょっとまって。なんだこのタワマンは?」
絢斗「いや、ウチのマンションだけど…」
虚無「車で薄々わかっていたけど…貴様!ボンボンだな!?」
絢斗「否定はしない」
虚無「くぅ!そのハイスペでこのブルジョア感…この庶民の敵め!
成敗してくれるわ!
さぁ、ベッドに直行するよ!」
東雲「待て。」ズビシッ
虚無「あいた!」
東雲の華麗なるチョップで正気を取り戻した師匠である。
入室後
武井「では車を置いてきます。
皆様、ハメを外し過ぎないようにお気をつけください。」
絢斗「え!?そんなぁ…武井しゃん…」
樹里「なにをそんな肉食獣の檻の中に置いて行かれた仔羊みたいにプルプルしているのかしら」
東雲「ちょっとサトミン。それは田所さんに失礼じゃね?」
虚無「あなたもカウントされてると思うんですが!?」
樹里「怖いでちゅねぇ、お~ヨチヨチ、ママでちゅよ~」
虚無「なんて狡猾な…」
東雲「美味しいとこ持って行く一番肉食なのって…」
絢斗「ふぅ、さあ、勉強会を始めようか。お願いします師匠。」
虚無「なに良い汗かいたみたいな雰囲気だしてるのよ…まあいいわ。始めましょっか。」
樹里「私はリビングで仕事するから用があったら呼んでちょうだい」
虚無「先生、自分の家のように…
っていうかさぁ、何?この部屋は?
一人暮らしにこの広さは必要?
必要なの!?
なんでマンションなのに階段があるの?」
絢斗「師匠うっさい。もう帰ってもらおうかな…」
東雲「うん!そうしよ♪基本的な事くらいならあーしが教えてあげるよ♪2人でいーじゃん」
虚無「おい待てや。我が弟子をそんないやらしい目で見てる女に任せるわけにはいかんのだよ。」
東雲「コロ助に言われたくないんですけど!?」
虚無「コロ助って言うな!」
絢斗「騒ぐんなら帰って?編集の中野に教えてもらう事にするから…」
虚無「…さ、やるわよ!」
東雲「おなしゃっす!」
・・・・・・・・・・・・
二時間ほどミッチリと基本を教えてもらいなんとか簡単なサムネを作る事が出来るようになった。
絢斗「ありがとう師匠。」
虚無「理解が早かったからね。
いいとこまできたんじゃないかな。
お礼は体で返してくれれば…ヘブッ」
東雲のチョップはなかなかの冴えをみせた。
東雲「懲りないねぇ。でもあんがとね、わかりやすかった♪」
虚無「ナナくん、デビュー当日の企画は決まってるの?」
絢斗「うん、歌枠で決めてるよ」
虚無「トークはどうするの?そのまま地声でやっちゃう感じ?」
絢斗「それは当日のお楽しみじゃない?」
虚無「え~、教えてよぉ。ね?ちょっとだけ、痛くしないし!先っぽだけでいいから」
東雲「先っぽってなによ?」
虚無「え?はぁ?なにぶりっ子してるのよ。」
絢斗「師匠、変なこと東雲に教えないで?」
虚無「え?ガチなの?」
絢斗「マジ。」
虚無「天然記念物発見です!!」
東雲「なんなのよ!?」
虚無「それはそうと、ちょっと歌ってみてよ」
絢斗「なに?急に。」
虚無「いいから!」
絢斗「んんっ…あーあ、あー…
♪嗚呼、いつもの様に~
過ぎる日々に~、あくびがでる~」
虚無「うわ!生あーとだ!」
東雲「すご!似てるぅ!」
虚無「そこなのよね」
絢斗「ん?」
虚無「似すぎてるんだよ。
リスナーが口パクなんじゃないかって疑う余地が有りすぎるんだよ」
絢斗「ふむ。やっぱそう思う?」
虚無「私達みたいにリアタイで見て聞いた人間は疑いようのない事実だってわかるんだけど
あーとはVTuberであってモニターに映らない裏では何でもありだって事にされちゃう危険もあるんだよ。」
絢斗「まあその辺は対策済みなんだけどね」
樹里「絢斗、あまり自分の才能を安売りするものじゃないわ」
虚無「あ、檸檬先生。少しくらいいいんじゃないですか?」
樹里「じゃああなたは私に
少しくらいいいよね?とか言いながら無償でイラストを描けと言うのかしら?」
虚無「それは違…」
樹里「同じ事よ。ジャンルは違うけれどお金になる才能なのよ。
これはこれからプロとしてやっていくあなたにも言える事なんだけど、
心構えって事なのよ。」
虚無「あ…」
樹里「わかったようね。」
絢斗「うん」
樹里「いいわ、聞き分けの良い子は好きよ。それで田所さんと東雲さん、これを。」
樹里はタブレット端末を2人に渡した。
樹里「まだラフスケッチみたいなものだけどイメージは伝わるでしょう?
何か注文があるなら受け付けるわ」
虚無「これが私…」
東雲「銀髪サイドポニーだ!可愛い♪」
師匠のキャラは少し大きめのケモミミで黒髪ストレート。
東雲のキャラはどう見てもハイトーンカラーのギャル。
樹里「田所さんはライドル二期生のコンセプトがケモミミだからまずは狼にしてみたわ。
私のイメージだけどキャラ的には委員長って感じかしら。
何かあれば言ってちょうだい。
狼にこだわってるわけじゃないし」
虚無「委員長!いいですね♪メガネとかアリですか?」
樹里「フフ、一枚じゃないわよ。
スライドしてみて」
虚無「わぁ♪他のケモミミもある!
あ!メガネもある!これイイ!」
樹里「あとは自分でイメージを膨らませてみて。
名前もそれで浮かんでくるんじゃないかしら。」
虚無「うわぁ♪先生!こんな素敵な身体をありがとうございます!
溜まってたモヤモヤがスッキリしそうです!」
樹里「東雲さんもヘアカラーとかメイクとかなんでも言うといいわ。
デビューしたらしばらくはそのままだからしっかりイメージできたらそれを教えてちょーだい。」
東雲「サトミンありがと~!
ベース作ってくれたからイメージが膨らむよ♪普段できないおしゃれとかも出来るし楽しみ~」
絢斗「樹里、お疲れ様。相変わらず仕事が早いね」
樹里「売れっ子イラストレーターは伊達じゃないのよ」
虚無「檸檬先生が逆襲ア●ロに…」
絢斗「あれだな、『ニ●ーガンダムは伊達じゃない!』」
虚無「あははは、似てる~w」
東雲「なんそれ??」
樹里「あなたはもっと日本が誇るヲタ文化を勉強しなさい。リスナーの心を掴む為の大事な要素の一つよ」
東雲「あーしだってゲームやアニメの一つや二つ嗜んでるよ!」
虚無「好きなアニメは?」
東雲「ワンピ●ス」
虚無「好きなゲームは?」
東雲「FPS」
だめだこりゃ。
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