第88話 顔バレは当然

絢斗「いで!」

真白「あ、ごめん…な…さい?」

空「うわ!誰この美人さん!?」

桃「ひゃー!かっこよ!!」

紅明「絢斗く~ん、打ち合わせ終わったのぉ?」

虚無「え?誰??」

東雲「は??やばっ!」

樹里「はぁ・・・」

紅明「ん!」


溜め息を吐く樹里の横をすり抜けて

なぜか両手を俺に向けて上げてくる紅明先輩。


幼女が「ん!」って両手を上げてきたので反射的にかかえ上げて腕に乗せてしまったが…

先輩的に正解のようである。


絢斗「俺は先輩の父ちゃんか?」

紅明「ウチの父は小さいからね。絢斗くんの高さは出ないんだよ。」

虚無「紅明ちゃん大木にしがみついてるコアラみたい」

真白「プッw」

桃「あはははw」

空「コアラだw」

東雲「ナニコレ??じゃ、じゃああーしも…」

紅明「東雲さんはダメだよぉ。重そうだし。」

東雲「重くないし!?」

虚無「(ムニョン♪)こんなご立派様を装備しておいて重くないわけなかろう?」

東雲「キヤアアアア!」

桃「私も触りたーい」

東雲「ダメーーーー!!」

樹里「絢斗、またカピバラみたいな顔になってるわよ…」

絢斗「いやぁ、てぇてぇなぁと思って」

樹里「まあいいわ。帰りましょう。私もサムネ作ったりしたいし。」

真白「先生がサムネ作るんですか?」

樹里「そうよ。残念ながらあーとはなかなかの画伯っぷりなのよ。

切り貼りのやり方も教えなきゃいけないし。

それが出来るようになるまでは私が代行するわ。」

紅明「絢斗くん画伯なの?」

絢斗「俺の才能は誰にも理解されないのさ。あのピカンや岡本ダロウの画が何がどうなってどこがどういいのかなんて凡人には到底理解できないように。」

紅明「見てみたいなぁ」

真白「なんとなくはわかっていたけど確信になったわ。絢斗=あーとというのが」

桃「え!嘘だぁ。

だってチックトックの『歌ってみた』とか女の子だったよ?」

空「声だけとか凄いな」

虚無「へぇ、ナナくんやりますなぁ」

樹里「なんだか話が長くなりそうね。

武井さん行きましょう。

田所さんも東雲さんもサムネくらい作れるようになっておいてね。」

虚無「私は大丈夫ですよ」

東雲「あーしも切り貼りくらいなら出来るから。ってかまたサトミンだけ一緒に帰る気?」

樹里「同じ方向だからよ。」

東雲「じゃあ、あーしも!いいでしょ?武井さん!」

紅明「僕も行くよ?」

東雲「てか紅明ちゃん、いつまで抱きついてんの?そろそろ降りなさいよ!」


話してる間、ずっと娘抱むすめだっこさせられていたオレガイル。

軽いからいいんだけどね。

お尻やぁらかいし。


紅明「このまま絢斗くんの部屋に連れてって?」

空「おい幼女、自分だけずるくね!?そして何をちょっとだけメス出してんだよ!」

真白「みずからの武器の使い方を完全にわかっててやってる確信犯だよね」

桃「おぃ園児!代われ」

紅明「赤たんの桃ちゃんに園児呼ばわりされても痛くも痒くもないよぉだ。絢斗くん行こ?」

空「行こ?じゃねぇし!」

絢斗「紅明先輩、今日配信は?」

紅明「ん~、なんとかなる?むしろ無い?」

空「いや、あるから!なんともならないから!!」

絢斗「じゃ、ダメです」

紅明「えぇ?なんでぇ?いいじゃん別にぃ」

桃「ダメだっつぅの!」

絢斗「プロとして仕事をちゃんとやってくださいね」

紅明「えぇ?それはいつでもできるよぉ?」


でた!紅明先輩のごり押しが通るまで続けられる『えぇ』のループ!

誰か!この状況を打破できる常識人はいないのか!?


樹里「紅明さん、紅民リスナーを裏切るような事は感心しないわね」


おぉ!やはりこういう時は樹里が頼りになる!


紅明「むぅ、しょーがないなぁ。

今日の所は勘弁しておいてやるぜ!よいっしょっと。」

絢斗「はぁ、それはどうも。」


紅明先輩が降ろすよう目で合図を送ってきたのでしゃがんで降りやすいようにすると婆さんのような言葉を発しながら降りてくれた。


樹里「絢斗もよ。カピバラに変身ばかりしてないで言わなきゃいけないことはしっかり言えるようにしなさい。」

絢斗「さーせんっした!女の子…とくに幼女相手だとなんか言いにくくて…」

樹里「ほら、行くわよ。」


そうしてダックスフンドのような車に乗り込み…


絢斗「ってかなんで師匠まで乗ってんですか?」

虚無「いやいや、何を言っているんだい君は?

師匠として、そして姉妹キャラとしてナナくんに、いや、あーとにパソコン作業のイロハを叩き込みに行く     んだよ。」

絢斗「はぁ、それは助かるんですが」


樹里の方をチラッと見るともう作画の構想を練っているのか心ここにあらずといった感じで上の空である。


東雲はというと

東雲「絢斗くんのお家久々だよね~♪」

などと来宅する気満々なんだが?

絢斗「えぇと、東雲は何しに?」

東雲「遊びに?」

絢斗「えっと、帰って?」

東雲「え?ひどくね!?

なんであーしだけ帰らそうとするかなぁ?するかなぁ!!」

絢斗「いや、せっかくだし師匠に基本だけでもガチで教わろうかと思ってたから遊ぶとかは無いよね?

そしてなぜ二回言う?」

東雲「あ、大丈夫。あーしも横で授業受けるから。」

虚無「大人しく真面目に受けるなら姉妹のよしみで教えてやらんこともないようなあるような?」

東雲「そこはちゃんと教えてよ!」

樹里「田所さん、まずはレイヤーとはなんぞ?ってとこからだから頑張ってね」

虚無「え?マジなの?」

絢斗「本気と書いてマジと読むくらいは。」

虚無「意味がわからないよ。」

絢斗「武井さん、早苗さんに連絡して今日は俺の部屋で夕食できるか聞いてみてもらえますか?

今からだと少し遅くなりそうだし全員分で」

武井「かしこまりました。用意させておきましょう。」








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