第77話 プリン最強伝説

○○駅前

東雲

「絢斗くーん!こっちこっちー!」


絢斗

「ごめん、お待たせ。」


東雲

「ううん、

あーしも今来たとこだし」


絢斗

「じゃ、行こっか」


東雲

「あ…待って、手…」


絢斗

「手?」


東雲

「迷子になっちゃいけないから手!」


絢斗

「いやいやいや、

いくら陰キャな俺でも

こんなわかりやすいとこで

迷子になったりしないから!」


東雲

「いやいや、あーしがなる」


絢斗

「んなバカな。行くよ」


東雲

「あー!いいんだ!

あーしが迷子になって1人でいるところに男の人のグループがやってきてナンパしてきたりからかわれたりオサワリされたりしてもいいんだ!」


絢斗

「えぇ…なにその具体的な例えは…」


東雲

「嫌がってるあーしを無理やり車にのせて知らないところであんな事やそんな事されてもいいんだ!?」


絢斗

「あーもう!わかった!わかりました!!」


東雲

「えへへ♪わかればよろしい」


絢斗

「でもやっぱりこっぱずかしいからせめて腕組むくらいで勘弁してつかぁさい…」


東雲

「しょーがねぇなぁwはい」


ぽよん


絢斗

「あのぉ、東雲さんや」


東雲

「なぁにぃ?」ニヤニヤ


絢斗

「そこまで密着しなくともよいのではなかろうか?

歩きにくいでござる」


東雲

「あーしがコケちゃわないようにしなきゃだよね?」ギュッ


むにゅん


絢斗

「あのぉ、東雲さんや」


東雲

「なぁにぃ?」


絢斗

「おっきいスライムがね…」


東雲

「んん~??」


絢斗

「おっきくてやぁらかいのが

ムニュンって…」


東雲

「んんん~???フフフ…」


絢斗

「ききききみねぇ!

わざとやってないかね!?

なんなんだよこの罪深い大盛おおもりプリンは!?」


東雲

「えぇ?プリン食べにいくんでしょぉ?

前菜?的な??」


絢斗

「なななんで今日はそんなにえっちぃく迫ってくるんだよ!

そしてプリンの前菜にプリンってよくわからないんだけど!?」


東雲

「だってぇ、2人っきりとか久々なんだもん、いこ♪」


こうしてプリンを食す前に

プリンプリンのスライム様に腕をはさまれて移動することになったんだけど…

血液がね?

一部に集まろうと身体中を駆け巡っているわけですよ!


汗でほんのりと蒸れた甘い香りがさらに脳を刺激してくる。

おそらくあとひと刺激あれば前屈み確定の事案である。


そんなソワソワタイムを消化していると…


「おいおい!このくっそ暑い時にベタベタしてんじゃねぇよ」

「お?女の方むっちゃイケてるって!」

「おお!マジだ!やっべぇ!」


大学生くらいの2人組に絡まれた…


A「お姉さん、そんなもっさいヤツと付き合ってんの?俺らの方がイケてない?」

B「そんなヤツほっといて俺らと遊びに行こうよ!」

A「むっちゃ楽しいとこ知ってんだよ、行こうよ!」

B「そうそう、楽しいとこで楽しい事しようぜぇ?」

ぎゃははははは


しかし雑魚キャラのヤカラって

なんであんなにでかい声で、

しかもぎゃははははと笑うんだろう?

夏休み中の駅前付近でよくもまぁ

そんなデカい声でナンパ?できるもんだな。

周りもなかなかの人数がいるんだが

誰も止めようとはせずに

どうなるんだ?みたいな好奇の視線を向けてくるだけだった。

まぁ、巻き込まれたくないわな。

こういうのは無視に限る。

下手に反論したりして相手が逆上でもしたら面倒くさいし。


絢斗

「東雲、行こう」


東雲

「う、うん」


東雲もさすがに

年上っぽい2人組は怖いみたいで

俺の腕にさらに抱きつくようにしている。

しかしこのスライムはいついかなるときでも素晴らしい弾力である。

柔らかすぎず固すぎず、

これが至高か?これが至高なのか?

もしくはもっと上が…


A「おい!無視してんじゃねぇぞクソ陰キャが!」

B「お前みたいな陰キャにその子はもったいねぇから俺らが代わってやるっつってんだよ!あぁ!?」


そういってBが東雲の腕を掴んだ。

スライム様の研究をしているときにうるさいヤツだ。


東雲

「痛!離してください!」


B「いいじゃねぇか、そんな奴ほっといて俺らと行こうぜぇ!」


絢斗

「あのぉ、痛がってるし嫌がってるので離してもらえませんかね?

むしろどっか行ってもらえませんか?

ケニアあたりとか。

バカの相手するのって疲れるし

鬱陶しいんですよ。」


そう言って東雲の腕をつかんでいるBの手首を【四教】でキメる。


※四教は合気道の技で

人差し指と親指の付け根の骨を使って手首付近を挟み

抑えつける技である。

キメられるとかなり痛い。


B「いててててててて!!!離せコノヤロウ!」


絢斗

「これは警告だ。

まだしつこくするようなら俺の影の力がお前たちを懲らしめる事になる。」


A「なにイミフな事言ってんだよ!この中二病の陰キャが!」


ダメだこいつら。面倒くさいからお任せコースにしよう。


絢斗

「影さん!お願いします!」


試しに言ってみるとやっぱりついてきてましたよ。

影「かしこまりました。」

スッと現れたのは3人、多分まだ他にも隠れてるはずだ。


A「っだよ!あんたら!!関係ねぇんだから引っ込んでろよ!」


絢斗

「俺と関係のないあんたらも引っ込んどけばよかったのに。

何も考えずに節操なくさかってるから

これからの人生を棒に振るような事になるんだよ。」


A「んだと!?てめぇ!ちょーしのってんじゃねぇぞごらぁ!」


Aは俺に殴りかかってきたので

サッとかわして足を引っ掛けると顔面から地面に激突。

A「いでぇぇぇ!!!」


絢斗

「受け身もできないのかよ。

ほんっとにクズだな。

影さん、もう連れて行ってもらえますか?

東雲を怖がらせた罪は重いんで

それなりの対処をお願いします。」


しゃがみこんでしまった東雲にこちらもしゃがんで声をかける。


絢斗

「東雲、終わったぞ。大丈夫か?」


東雲

「うぅぅ、怖かったよぉ!」


泣きながら立ち上がり

抱きついてきた東雲には申し訳ないが体勢がね…

せっかくこちらもしゃがんだのにあなたはなぜ立ち上がり抱きついてきたのか?


スライム様を顔面に押し付けられた俺は

回避不可能な状態になってしまい

立ち上がる事ができなくなっていた。

おれがシティー狩人なら例のセリフを叫びながらルパソダイブをかましているところだ。


若さが憎いなコンチクショー。


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