第76話 それぞれの夏休み
グライドの4人で打ち合わせをした後、樹里と一緒に帰る事に…なりそうだったが俺はバイクできてたので1人で帰った。紅明先輩は紅葉さんに引きずられていった。
帰宅してスマホを確認すると武井さんから連絡があり浜崎社長から謝罪されたがどうするか、だって。
一応今回は許してあげて欲しいと伝えておいた。
もうしばらくはやることないし家にこもろうかな。
あーとの事も少し考えたいしなぁ。
普通に男としてデビュー?いやいや、それじゃ面白くないしなぁ。男女の垣根なく演じれればそれはそれで話題作りになって面白いんだろうけどやっぱりベースをしっかりと固めた方がいいのか…。
いや、固める必要もないか。
樹里が作ってくれたあーとのイメージに合わせて…
俺が自然に演じることのできる形…
うーん…
それからしばらくはあーとの個性を引き出すことに時間を費やした。
・・・・・・・・・・・・・・
8月に入り樹里が教習所に通い出した。元々の運動神経の良さもあり楽勝っぽい。
家にいる間は夏のイベントに向けて活動しているらしい。一度モデルを頼まれて部屋に行った時は液タブで何やら描いていたが見せてはくれなかった。
だいたいの想像はついてるけどね。
以前言っていた崇高なヤツだろう…。
東雲は前回の撮影が好評だったようで今やティーン向け雑誌で引っ張りだこらしく夏休み中は忙しくしているそうだ。
ちなみに樹里の写真は雑誌側に出さなかったそう。あまり露出を好まない樹里に大和さんが気を利かせてくれたみたいだ。
虚無師匠はゲームの腕前とノリの良さが評価され無事ブライド二期生としてデビューがきまりママンを募集中だそうだ。
そして俺はというと、あーとの事で煮詰まっている。
1人で家の中で考えていても納得行く結果がでなくてぐるぐると思考がループしてしまっている。
リスナーさんが俺の声を聞いて悩んで悩んで悩んだ挙げ句、結果が出せずにどっちでもいいじゃないか!ってとこに持っていけたら最高かもしれない。
じゃあその声を…というのが簡単ではなく、試行錯誤しているのだ。
ん~む…
一回リセットするかな。
・・・・・・・・・・・・
七条院家の屋敷にて
早苗さんにお茶を淹れてもらいくつろいでいるとテレビでスイーツ特集が流れている。
早苗「あ、ここのプリン美味しいんですよ」
絢斗「へぇ、プリンかぁ。そういえば最近食べた記憶が無いなぁ。」
早苗「ここのプリンは食感が硬めで今まで食べてたプリンとはひと味ちがいますよ。ちょっとだけ岩塩かかってたりしますし。」
絢斗「岩塩かぁ。」
早苗「お暇なら気晴らしに誰か誘って食べに行かれたらどうですか?もちろんお土産とか期待してないんですよ?あぁ、プリン、良いですねぇ♪」
絢斗「はいはい、ちゃんと買ってくるよw」
誰か暇な人おりゅ~?
一緒にプリン食べに行こ~
とか言えたら楽なんだがそんな誘い方できるような性格ではないので困った…
なんなら早苗さんと
早苗「あら、坊ちゃまからのお誘いとか嬉しいんですが今日は清掃業者がくる日なのでお屋敷を留守にできないんです。」
あぅ~
そもそも男の友人もいないぼっちクソ野郎な俺にはハードルが高い気がする。
そしていたとしても野郎2人でプリン食べに行くのはなんかやだ。
武井「東雲さんなら本日フリーですよ。里見さんは腐りきったお絵描きが忙しいようで缶詰め状態です。恵さんはすぐにどうこうできる距離にはおりませんし、城之内さんは夕方までなら空いてますね。田所さんは打ち合わせです。」
絢斗「まって?いやいやいや、なんで他人のスケジュールん把握してるんですか?それと城之内と田所って知らないんですけど??」
武井「スケジュールの把握は秘書として当然ですね。」
絢斗「知らない人は?」
武井「
絢斗「あの2人、ちゃんと名前あったんだな…」
武井「どういたしますか?」
絢斗「武井さん一緒に行かない?」
武井「私はかまいませんが東雲さんはよろしいんですか?きっと待ってますよ。」
絢斗「・・・・・。」
武井「私共は坊ちゃまに少しでも外の空気に触れていただきたいと思っております。」
絢斗「わかりましたっ!最近武井さんはすぐに追い出そうとしてません?」
武井「これはまたおかしな事を。私は坊ちゃまに今の時を楽しんで欲しいだけです。最近坊ちゃまもお友達が増えましたしご自身でも何か心境の変化があったのでは?」
絢斗「まあ確かに以前より人嫌いはマシにはなったと自分でも思う…けど!それはそれ。1人の時間が必要な事には変わりないかなぁ。」
武井「人が1人の時間を必要とするのは当然のことですよ。坊ちゃまはその時間が他よりも少し多いだけですよ。」
絢斗「そんなもんなのかなぁ…。まあいいや、連絡してみる」
武井「はい」
プルルルル…プルルルル…
絢斗『プリン食べたいなぁ』
東雲『絢斗くん、やほー♪急になに??ってかやっと連絡くれたと思ったら下ネタ?』
絢斗『違うし。やっぱいいです。』
東雲『嘘嘘嘘!冗談だって!なになに?プリン?作る?』
絢斗『え?プリン作れるの?』
東雲『あーしは作れないけど?絢斗くんが作るんかなぁとか。』
絢斗『いや、東雲とプリン食べに行こうかなぁと思って。』
東雲『あーしのプリン食べにくるの!?やん♪えっちぃ』
絢斗『東雲と!プリン食べに行こうかなぁと思ったんだけどやっぱいいです。武井さんと行きます。』
東雲『冗談だってばwうん、食べに行くの?行きたい行きたい!どこ行くの?』
絢斗『○○駅の▲▲ってお店。』
東雲『うわ!最近流行ってるとこじゃん!嬉し~♪』
このノリ久々だな。
んな感じで東雲とお出かけする事になったのら。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます