第43話 天知る地知る人が知る

数日後


絢斗side

いよいよVTuberデビューの日が決定した!

と言ってもまだ先の話なんだけど。

もうすぐ夏休みだ。

グライド側の配慮で夏休み明けからにしてくれたのだが…

こう言っちゃ何だが別にすぐデビューでもいいのになぁ。

どうせ夏休みなんて引きこもってゲームと投稿しかしないし。

遊びに行く?何それ?

意味がワカリマセーン。


ビバ!学校の無い生活!

爺様達を安心させるために復学したんだがやはり面倒なモノは面倒なわけで。

現状東雲以外は絡んでこないので問題無いと言えば無いんだけど。


しかし!独りで静かな時間を聖域で過ごす幸せ!これを満喫できるのは嬉しいのだ。

もう聖域じゃなくなったんだけどね…。


撮影の翌日から東雲は大人しくなった。

声はかけてくるが挨拶だけ。

なんだかモジモジとして何かを我慢しているようだ。

溜めすぎは体に悪いよ?

早くお花を摘みに行ってきなさい。

と言うと「バカー!」とそれはそれは見事なカーフキックを繰り出してきた。ひるがえる短めのスカートにちら見えする真っ白な太もも。

男子が「おおおおお!!」と興奮するも重要なカラーリングは見えず。

ハイキックしたわけじゃないんだから「おおおおおお!!」じゃねぇよ…

大体見えちゃったらダメでしょ!

見えるか見えないかの瀬戸際、その境界にこそロマンが詰まっているのだよ。

フッ、まだ君達には早いようだな。

同志よ集え!!

いや、やっぱ集わなくていいです。

独りの時間が無くなっちゃう。


カーフキック、ちょっと効いた。


雑誌は無事販売されたようで売れ行きも好調で増刷が決定しているとか。

表紙にもなったし東雲もこれで単なる読モから売れっ子モデルの仲間入りかな。

写真の隅っこに【photo大和琉聖やまとりゅうせい】と小さく書かれているのも話題を呼んだそうだ。

あの人は侮れないからなぁ…


~~~~~~~~~~~~~~


東雲side

撮影の日、絢斗くんはひたすら優しくてかっこよかった…

もう私だけの王子様って感じ。

絢斗くんの事考えるだけで身体が熱くなってきて他は何にも考えられないし見つめられたらお腹の奥が疼いちゃって余計に何も出来なくなりそうだったんだけど…


ホワホワしてたら撮影も終わってたし。


次の日の朝

武井さんからのメール。

『大和様からプレゼントをお預かりしております。送りますのでご確認くださいますようお願いします。』


撮影の合間のオフショットの写真だった。

絢斗くんエロカッコイイーー!!

ってかあーし、なんちゅうエロい顔してんの!?完全に蕩けきってるし…これは人には見せらんないわ。

武井さんにお礼の返信をして大和さんにもお伝えくださいと伝言をお願いした。

学校に行くと教室で絢斗くんを見ただけでドキドキしてきた!

挨拶しただけでちゃんと話せなかったな。

何か勘違いされたし…。


雑誌はすぐに売り切れ店舗続出したらしいんだけど、これってあーしじゃなくって絢斗くんだよね…

あーし的には表紙にもなったしなんかもう満足かなぁって思っちゃった。


学校ではとにかく周りがうるさい。

チャットアプリも鳴り止まない。

あれはだれ?

紹介しろ

一緒に遊び行こ

ヤらせろ


ヤらせろってなに!?


事務所と雑誌社は絢斗くんの事で問い合わせが殺到してるみたいで大変らしい。大和さんがティーンズを被写体にしたってのも凄い話題になってる。

もうすぐ夏休みだし、絢斗くんとお出かけとか出来たらなぁ…

2人で旅行とか行っちゃってお泊まりとか…

ぎゃあああ!無理無理無理無理!

想像しただけで恥ずか死ぬぅ!!


~~~~~~~~~~~~~~


柚子檸檬side

グライドの鈴木さんからメール?

写真付き?

何かしら…

!!!!!!!!!

絢斗!あなた何をやって…

ん?追伸?『他言無用』。

なるほどね。何か理由があって正体を隠しての事だと。

すぐ下僕に連絡した。

どんな手を使ってでも雑誌を入手しなさい!出来れば複数よ!


数時間後

宅配ボックスに数冊の雑誌が届けられた。

入手経路?知らないわ。

現物が今、私の手元にある。

それだけが真実なのよ。


絢斗…なんてエッチな顔をしているのかしら。

捗っちゃうじゃないの!


一緒に写ってる子も蕩けきってるじゃない。

ん?んんん???

この子の名前…

そういう事?

まさかね、こんな頭の悪そうな乳牛なんか相手にするはず無いわ。

しかし破廉恥な胸だわ…チッ

こうしてはいられないわ。

早く計画を実行しなくては。


「もしもし、武井さん?絢斗の…」


~~~~~~~~~~~~~~


グライドside

中「鈴木さん!鈴木さん!」

鈴「どうしたの?あわてて」

中「大変ですよ!」

鈴「だからどうしたの?」

中「これみてください!」

鈴「ちょ、これ!?」

中「絢斗さんですよね!?」

鈴「これは不味いわ…この雑誌貰うわよ!浜崎社長にも話しておかなくちゃ!」

中「これはダメですよ!もう売り切れで無いんですから!」

鈴「チッ」

中「舌打ちとか…」

鈴「ねぇ、中野?取り引きしようじゃないの」

中「中野さんって…な、なんですか?怖いんですけど…」

鈴「一万でどう!?」

中「金かぁい!!ってか一万って安っ!もう手に入らないのでプレミアついてるんですよ!オークションとか見てくださいよ…」

鈴「なっ!?まだあと2日もあるのに20万越えてるですってぇ!?」

中「これを撮影したカメラマンが大和琉聖ってのもプレミアの原因の1つですね。」

鈴「うそ!?あの鬼才カメラマンが!?ぐぅぅぅ…じ、十万で…」

中「オークションに流そっかなぁ」

鈴「ちょ、待って!さ、三十万出すわ!これでお願いします!!」

中「お願いしますって…冗談ですよ、はい。鈴木さんの分も買ってありますよw」

鈴「なぁかぁのぉ~!ありがと~」

中「はい、30万。ボーナス払いでもいいですよ」

鈴「な~か~の~…」(血涙

中「じょ、冗談ですよぉ、やだなぁ…ハハハ…」

鈴「とにかく社長にも報告しとかなきゃね。」

中「あ、社長の分もありますよ?」

鈴「フフ、でかしたわ中野さん。あの人なら100は出すわよ。さぁ、行くわよ!(からかいに)」


社長室では、それはそれは見事な土下座SHOWが繰り広げられたそう。


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