第41話 わからせBOY
放課後
いつもの場所に武井さんが待機しているので軽くダッシュ。
東雲も少し遅れてから合流した。
スタジオに到着すると必要最低限の人数だけだった。
絢「スタッフ少なくない?」
武「ティーンズ向けの雑誌の撮影ならこんなものでしょう。そこまでお金をかけられませんからね。」
愛「うわ!最悪…。今日あいつだ。」
絢「ん?どした?」
愛「下田っていうカメラマンのアラサー勘違い男。あいつ女好きでモデルの子とか誘いまくってんの。
カメラマンって立場利用してモデル志望の子とかけっこうやられちゃってるって話聞くし。あーしも無駄にきわどいポージングとかさせられそうになった事あるし、むっちゃしつこく誘ってくるんだよねぇ。マネージャーが一緒にいてくれなかったら何されるかわかんないよ。あのネチっこい視線とかキモいし大っ嫌い!」
絢「うっわ、ゲス…」
東雲の話を聞いてイラッとする。
武「ご安心を。もうじき助っ人が到着しますよ」
絢&愛「???」
少しすると武井さんが呼んでくれた見覚えのあるスタイリストさん、メイクさんがこちらに小さく手をふっている。そして…
「絢斗君、久しぶりだね。」
絢「大和さん…ご無沙汰しております。」
大和「見学させてもらうよ。」
絢「はい…」
愛「武井さん、あの大和って人は知り合いなんですか?」
武「絢斗様のお父上の友人です」
下「よぉ、愛!代役用意出来たんだって?良かったじゃん。」
東雲に気づいた下田とかいうヤツが下卑た笑いを浮かべながら東雲の肩を抱こうとする。
愛「ははは…お疲れ様です、今日は宜しくお願いします」
スッと下田の腕をかわし挨拶する東雲。慣れてるな。
下「で、そこにゾロゾロ居るのってなに?事務所の人?撮影の時は気が散るから席を離れて欲しいんだけど。」
愛「いえ、この人達は」
下「あぁ、見学?部外者はダメだよ。帰ってもらえよ。
それより愛さぁ、この前の話考えてくれた?」
愛「あの、2人だけでロケとか事務所的にNGなんで無理なんです…」
下「チャンスなんだぜ?愛なら俺が出す写真集の表紙だって」
・・・・・こいつ!
絢「おいおっさん、愛はおまえの口が臭いっつってんだよ。なぁ愛?」
東雲の腰を抱いて引き寄せる。
愛「絢…斗くん?」
下「おっさんだと?なんだおまえ?まだいたのかよ」
絢「ん?なになに?ああ!体臭もキツいって?香水でもごまかし切れてない?そんな事言ったらおっさんが可哀想だろ?自殺もんだぜ?ハハハ!」
東雲の顔に耳を近づけてさらに煽る。
下「て、てめぇ!」
絢「あ、わりぃ。カメラマンさんの
マスクを外し伊達眼鏡をずりあげる。
下「ウッ…て、てめぇ、俺が誰だかわかって言ってんのか?」
絢「
下「愛ぃぃぃ!おまえ!こんなヤツ連れてきてどうなるかわかってんのか?もうこの雑誌じゃ誰も撮ってくんねぇぞ!」
下田は声を震わせながら俺じゃなく東雲に食ってかかる。
武「絢斗様、東雲さんの事務所と雑誌社の方には了解をいただいております。」
たた武井さぁん!
ポンコツとか思っててごめんなさいぃぃ!!やっぱり頼りになるデキる人でしたぁぁぁ!!
絢「愛、言ってやれよ」
愛「俺の…俺のって言った…俺のって…俺の愛…」
あ…こっちがポンコツだった。
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