第31話 選曲

翌朝

昨晩は色んな意味で大変だった。

当たり前だが東雲さんには別の部屋を用意してもらってそっちに移ってもらった。


武井さんに柚子檸檬先生とグライドの鈴木さんを繋ぐようにお願いして学校へ行く。


東雲さんの制服は当たり前のようにクリーニング済みでそのまま一緒に登校となったわけだが…

「あの、ニヤニヤするのそろそろやめてもらえないですかね」

「え~、だってぇ」

「だってじゃなくって」

「絢斗君にフニフニされたとこがまだ感触が残ってるみたいなんだもん」


こっちは全く覚えてないのでやり直しを要求する!

一世一代の不覚ってほどでもないがやはり始めての経験はね・・・

チクショー!!


学校では相変わらず休憩の度に東雲さんが話しかけてくる。

陽キャのアホ共とは違う意味で平和な学校生活に終止符を打たれた気分だ。


だがアホ共がいなくなったおかげでクラス全体の雰囲気は穏やかなモノに変わった。人気者だと思っていたのは本人達だけだったな。


放課後

グライドの鈴木さんから連絡があった。

柚子檸檬先生と打ち合わせをした結果、一枚画が出来上がり次第歌ってみた動画をチックトックに投稿するそうだ。

何本か投稿してる間にVTuberとしての七色あーとを生み出す作戦らしい。

今日でマンションの改装工事も終わるらしいし明日からはまたボッチ生活を満喫できるってわけだ。

歌の収録用の部屋と配信用の部屋、トレーニングルーム。

いろんな機材の納品とセッティングも今日のはずだし明日が楽しみだ。


秋風さんからもチャットアプリに連絡があった。

『対戦はまだかな?』

覚えてくれていたようだ。陰キャ相手にも優しい人だと感心してしまった。やはり将来後輩になるわけだしここは某エンタメ事務所のように兄さん姉さんシステムを導入して紅明くみん姉さんと呼んでおいた方がなにかと円滑にいきそうな気がするが中の人は僕っ娘ロリだしなぁ。

いやいや、これからVTuberとしてやっていくならちゃんとキャラを見ないとな!

紅明先輩?

紅明さん?

紅明ちゃん?

紅明たん??

ねえさん?

あねさん?これは無いな。

話す機会があれば本人に聞いてみよう。

ゲームは明日以降ならいつでもと返信しておく。


屋敷に戻り武井さんと身体を動かしながら歌ってみたでの選曲を考えている。

武井さんは誰もが知ってる曲を歌えばとありふれた答えを返してくる。

それはそうなんだけどさぁ…


部屋に戻ってチックトックの歌ってみたショート動画をずっと見ているんだけどトレンドを意識した最新曲ばかりだ。

そうそう、【first take】あれは凄くいいよね!


んーむ。。。


アイドルユニット系はおれが苦手だしなぁ。大人数で歌って踊ってとか陽キャの代表だもんな。

ここはVTuberらしくアニソンも有りよりの有りだ。ブライドメンバーのアニメ歌枠とか可愛くてよかった。

以前サブスク動画でみてハマったアニメシリーズとかでも…プロ●カルチャー的な?

この悩んでる時間も楽しい。


どんな人が食いついてくれるのか楽しみだな。



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