第32話 初投稿

後日


鈴木side

絢斗様から音源が送られてきた。

音が周りに漏れないようにヘッドホンをして早速聞いてみる。


ゾクゾクッ


…鳥肌がたった


曲は知らないけどこの声はなに!?

これを絢斗様が歌っているというの?

信じられない…。

透明感と甘さが融合したような声は聞いたことが無くても引き込まれてしまう。


調べてみるとかなり昔のアニメ映画の主題歌のようね。

少し前にやってたアニメシリーズの原点か…

良い曲だわ。

原曲を聞いてさらに驚いた。

本人としか思えない…むしろ本人より上手い!

メトロノームのリズムだけで歌っているから余計に上手さが際立つわ!


早速柚子檸檬先生の画と曲のデータをグライド担当編集の中野さんに渡してショート動画を作ってもらった。


【歌ってみたその1】


投稿者(歌)   七色なしきあーと

イラストレーター 柚子檸檬

所属事務所    グライド

VTuberデビュー前プロモーション



このワードを入れてもらい柚子檸檬先生の画とあーと君の曲を全面に押し出した形で軽くエフェクトをつけた感じの動画に仕上がった。


投稿前には約束通り柚子檸檬先生にもチェックしてもらいあーと君にもチェックしてもらった。


2人も気に入ってくれたようで両者からOKがでた。


いよいよね!


2人とも今から事務所に来るみたい。ドキドキが止まらないのは皆一緒ってことね。せっかくだし全員揃った所で投稿しましょう。




柚子檸檬side

グライドの鈴木さんという方から連絡がきていた。七色あーとの事で打ち合わせがしたいと。


まずは一枚画を数種類。

それを使ってのプロモーション。

あーとはコラボとかはまだ考えていないので3Dは当分先で基本的に2D配信になる。

2Dでもコラボできるしね。

あとは2D配信時のあーとのパーツ。

今求められているのはこれくらい。


数日後

あーとが歌ってみた用の音源を用意したみたい。

鈴木さんが投稿用に編集したモノと元データを送ってくれた。

全身に鳥肌が立つのがわかった。

さすがあーとね。

投稿用の動画は可もなく不可もなく

ただただ私の画とあーとの歌を全面に押し出した物だった。

この動画を見ただけだと女性VTuberがデビューするのかって勘違いする人がほとんどでしょうね。

あーとも事務所に行くみたいだし私も行こう。



絢斗side

事務所に行く途中で柚子檸檬先生を拾う事になった。

武井さんに連絡がきたようだ。


柚子檸檬先生と合流し事務所に向かう。

学生服にボサボサ頭にメガネの俺を見てなぜか「それがいいわね」と一言。気にしないでくれるならそれはそれでありがたい。


先生も動画を見たという。

「いいんじゃないかしら?」

短い動画なだけに興味を持ってくれる人がいるのか不安があると伝えると「あなたと私が組んだのよ?」とおっしゃる先生。たしかに先生の画は綺麗だがそこに俺ってのがまだしっくりこないんだよ。


そんな話をしている間に事務所に到着。


鈴「お疲れ様です。早速ですが七色あーとでチックトックのアカウントを作成してあります。後はあの動画を投稿するだけです。」

絢「鈴木さん、ありがとうございます。」

鈴「その鈴木さんはやめていただけるかしら?もう私達はチームなのだからもっと気安く呼んでくれると嬉しいわ。」

絢「何て呼べばいいですか?」

鈴「私は鈴木麻美すずきあさみだからあさちゃんでも麻美さんでも鈴木さん以外ならなんでもいいわよ。なんなら呼び捨てでもいいわ。」

絢「(絶対浜崎社長に対抗心燃やしてるよねこの人)じゃあ鈴木で。」

鈴「なっ!?名字はやめてくれないかしら…」

絢「…麻美さんで。」

鈴「いいわね。」

柚「私は檸檬と呼び捨てでいいわよ。年下のようだし。」

絢「わかったよ檸檬」

柚「ウッ…それでいいのよ。」

絢「この方は?」

鈴「編集の中野さんよ。」

中「初めまして、中野です。よろしくお願いします。」

柚「中野、宜しくお願いするわ。」

絢「中野、中々いい仕事してたぞ」

中「ちょ!なんで私だけ問答無用で中野呼びなんですか!?」

柚「親しみをこめたのよ」

絢「仲間外れは嫌だろ?」

中「そんなぁ…」

鈴「しばらくはこの4人でやっていくわ。足りない人材はブライドと共有して流れが掴めてきたら新たに募集してもいいわね。」

絢「わかりました。その辺はお任せします。もし何かあるようなら武井さんに連絡してください。」

鈴「了解よ。18時になったら投稿するわ。あと数分ね。投稿が完了したら各SNSで拡散を開始します。ブライドのホームページやSNSでもグライドと七色あーとを発表する事になっているわ。」

絢「ワクワクよりドキドキが強いですね」

柚「私もドキドキしているわ。初めてVTuberを生み出すんですもの。しかも変わり種。見てくれた人達が気に入ってくれれば嬉しいわ。」

「さ、時間よ。

5・4・3・2・1・押して!」

全員でエンターキーに指をおいてカウントダウンで同時にポチった。

「さあ、忙しくなるわよ!」

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