第25話 挟むな!



翌日

バカ陽キャグループは登校していない。

むしろ朝一番で机や椅子が撤去されたらしい。

学校側もヤバいと感じて本気で処分したのだろう。


そんな感じで平和に空気ボッチを堪能しようとしていたのに

休憩毎に絡んでくるギャル子さん。

スルーしているとスマホを取り上げられた。


絢斗

「ふざけてないで返してくれないか。」


柚子檸檬先生からいつ連絡がくるかわからないから

スマホを手放すわけにはいかんのですよ。


東雲

「え~、どうしょっかなぁ」


ギャル子さんがリボンをゆるめシャツのボタンを外し始めた。

この流れはヤバい!

あの中にスマホを入れられたら手が出せない!


東雲

「ほらほら~、取ってみぃ?」


ほぉらやっちゃった!

何って低脳なんだ!

スライムの間に挟みやがった!

なんて羨まけしからん!

まわりの男子も「おぉぉぉ!」と興奮している。何人かは前屈みだ。

女子達は「男子は見んな!」とか「さいってー」などのいわれなき誹謗中傷がギャル子さんではなく男子全員に向けられる。


なんたる理不尽!

返して欲しいので俺は仕方なく、

そうだ!仕方なくだ!手をギャル子さんの胸元に伸ばそうとすると

「やん!えっち…」

どうすれば返してもらえるんだ!?

くっそー、スライムめぇ…


そんなとき、ギャル子さんのスライムに挟まれたマイサンスマホが音を奏でると共にバイブレーション!


「あん♪電話鳴ってるよぉ?」とスマホを抜き取った所を無事救出したのだが…

電話に出るためスマホを顔に当てるとほんのりとした良い香りと温かさが伝わってくる。おっふ、、、

ごっつぁんです!じゃなぁぁぁい!

俺は顔に出したりはしない。

プロだからな。何の?

そのままスッと教室を出て

「もしもし」

というと切れていたでござる…


着信履歴をみると柚子檸檬先生だ!

かけ直してみると


柚子檸檬

「ラフ画だけど送っておいたから確認しておいてくれるかしら。

それと名前も決めたわ。

それも感想をもらえるかしら。

意見があれば遠慮なく言うのよ?」


とだけ言って切れた。

スマホではなくパソコンのチャットツールに送ってくれたようだ。

やべぇ、早く帰らないと!

残り授業は1時間。

くっそー、こんなに心乱れる事なんて家族が亡くなって以来だ。

あの時はこんなもんじゃなかったが…


普段空気の俺から漏れ出る不機嫌オーラに教師もびくついている。

昨日の事があったから余計に俺の顔色をうかがってびくびくおどおど。ゴメンよ先生。


終業のチャイムが鳴ると同時にダッシュで外に向かう。

メールで武井さんにお迎えを頼んだので目立たないところで待機してもらっている。一番最初に校門を抜ければ誰にも見られずに済むはずだ。


角を2つ曲がった所に車を発見!

武井さんが外で待ってくれていた。

ドアを開けてもらい乗り込むと


武井

「絢斗様、この方はいかがなさいますか?」


は?え??

そこにはゼェハァと肩で息をしているギャル子さんが立っていた。


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