第24話 イジメ、だめ、絶対



あれから小一時間経過。

モノマネから歌マネまで

先生の気が済むまで演じさせていただきましたよ。

そりゃもう魂込めましたともさ。

もともと演技も憑依型だから苦ではなかったが

さすがに一時間ぶっ通しで色んなキャラを演じるのは疲労が…ね。



柚子檸檬

「ふぅ、楽しかったわ。

ありがとう。また連絡するわ。」


そう言って先生は帰っていった。


あれ?コンセプト云々の話は?


武井さんと合流して帰宅する。


武井

「坊ちゃま、柚子檸檬先生についてですが

最初に合流したデb…失礼、

ぽっちゃりさんに聞いたところ

サークルメンバーでも先生に会った事は無いそうです。」


絢斗

「そんなんで同人活動とかできるんですか?」


武井

「全てネット経由で問題無いそうです。」


絢斗

「じゃあなんで今日出てきたんだろ?」


柚子檸檬

「坊ちゃまの依頼に興味があったという事なんじゃないでしょうか?」


絢斗

「それなら嬉しいんだけどな。」


屋敷へ帰宅後

夕飯を済ませ風呂の中で配信のチェック。

ブライドメンバーのアーカイヴを視聴して

他の箱もチェックする。


ふむ。ほとんどのVTuberのやってることは同じ様な事ばかりだが

そこにVTuber1人1人の個性や声が乗っかる事で

それぞれが違うコンテンツのように感じる。

さらにリスナーとの駆け引きが加わる事でLIVE感も生まれる。


やっぱり面白いな。


ふぅ、明日学校だな…

今日が得るものが多く充実しすぎてて

学校の事なんか忘れてたが…

面倒な事にならなきゃいいんだけどなぁ。




・・・・・・・・・・




翌朝

絢斗

「行ってきます。」


武井嫁

「坊ちゃま!お待ちを~。

こちらをお持ちくださいね♪」


絢斗

「お!弁当ですか!嬉しい~♪

武井さんありがとう。」


武井嫁

「こちらにいる間くらいは甘えてくださいね」


ハウスキーパーさん武井さん嫁から弁当を受け取り学校へ向かう。

弁当はとても嬉しい。

問題はどこでボッチメシをするかだな。

後で考えるか。

教室に到着すると俺の机に花瓶が置かれ一輪の造花が飾られていた。


始まったな。


クラスの大半は見て見ぬ振りか。

そしてクスクス笑ってるグループが1つ。

取りあえず写真に収めておこう。


武井さんとか説得する材料になるだろう。

アングルを変え何枚か写真をスマホで撮影し

花瓶をどけるとちょうど花瓶の底で隠れるサイズで

マジックで『死ね』と書かれていた。

それも撮影してから花瓶を元の位置に戻す。


勿論武井さんに全て送信した。

それと「ごめんなさい」と

一言謝っておいた。


とりあえずは向こうから何かしらのアクションがあるまで放置だ。


気にせずにスマホで動画を見ているとその時はきた。

陽キャグループ1・2・3号が近づいてくる。

はい、ボイレコスタート。


2号

「おい!陰キャ!何学校来てんだよ!あぁ!?」


無視


3号

「シカトこいてんじゃねぇぞ!

ごらぁ!!」


机を蹴り上げようとしているので

片足をスッと前に出す。


はい、スネにヒット。


2号

「ってぇぇぇっ!!!」


うっせぇな。


3号

「てめぇ!何やったんだよ!」


胸ぐらを掴んできたので

一瞬だけ【二教】合気道の技で手首をキメてすぐに放す。

一瞬だが手首の筋に激痛が走ったはずだ。


3号

「っつぅ…」


1号

「調子のんなっつったよなぁ!

あ!?おら!」


陽キャ代表の1号が

顔面めがけて拳を振るってきた。


顔をズラしかわしたあと

そのままスッと立ち上がる。


かわされた1号は

つんのめってこちら側に身体が流されてきたもんだから

俺の頭が1号の鼻にカウンターぎみにクリーンヒットだ。

ぐしゃっとした感触があったから

折れたなこりゃ。


「ぅぎゃああああああ!!」

とか叫びながら鼻をおさえてる1号。

そこで武井さんからメール。



『撮影できました。

そいつらの親はベトナムの地方の工場へ転勤確定です。

よく我慢しましたね。』


ドアの隙間から親指をグッとたててる武井さんがいた。


絢斗

「ベトナムだ。」


2号

「は?何言って…」


絢斗

「おまえらはベトナムだ。」


そこでギャル子さんが登校してきた。


東雲

「あんたら!

イジメとかマジ最悪なんですけど!」


絢斗

「ギャル子さん、

もう終わったから。」


東雲

「は?だって花瓶とか悪趣味にもほどがあるっしょ!

もぉ怒った!!」


絢斗

「いや、もういいから。」


廊下側からバタバタと警備員数名と

教師数名、生徒指導の教員、

さらには担任・教頭・校長まで走ってきた。


校長

「何をやっているんですか!君達は!!」


1号

「見てくださいよ先生!

こいつにやられたんです!」


鼻血をボタボタと垂れ流しながら

俺を指差す1号。

それに賛同する2・3号。


教頭

「嘘をついても駄目です!

ちゃんとこの目で動画を確認しましたよ!

クラスの全員も目撃してるんじゃないんですか!?」


クラスメイト達は少し黙っていたが

陰キャっぽい女の子が手を挙げて


「私、みてました…

机に落書きして花瓶を置いて

彼に暴力を振るおうとしてました…」


そこから俺も私もとクラス中が目撃したと言い出したんだから

もう陽キャグループはぐうの音もでない。


陽キャグループはクラス全体を睨みつけながら威圧していたが


校長

「学校でのイジメは無期停学ですよ!これからご両親の呼び出しです!」

と校長に告げられた途端、

何もやってないです!停学だけは!

とか叫びながら警備員に連行されていった。


静まり返ったクラスで

1人、また1人と

「黙って見ててゴメン」とか

「あいつら嫌いだったから

スカッとした」

とか色々話しかけられたが

最後の1人が


「ところでさ、

おまえこのクラスだっけ?」

と言ったもんだからまわりがザワザワしてる。


東雲

「何言ってんの?ずっといたっしょ。

大人しいから目立たなかっただけだよ。」

とギャル子さん。


存在を消していたのが成功してた事に感動した!


そしてギャル子、余計な事言うな。

おまえのせいで薄かった存在に色がついちまうじゃねぇか。


昼の休憩時間、

陽キャグループとその両親が勢揃いしている校長室に呼び出されて

両親達に土下座された。

それを悔しそうな顔で見ている陽キャグループ。


陽キャ親から

「なんとかベトナムだけは!」

と懇願されたので

武井さんから俺のスマホに送られてきた動画をリピート再生だ。

その動画を全員で観賞しながら話を始める。

伊達眼鏡をヘアバンドにして俺の目が相手から見えるようにする。

演出な。


絢斗

「僕は学生なのでそのような権利はありません。

不出来な子供を育てた事を後悔しながらベトナムで頑張ってください。

あ、それと二度と日本の地は踏めないと思うので

お忘れ物バカ陽キャの無いように。」


「そ、そんな…」

「おまえらのせいでぇ!!」

「おまえはなんて事をしてくれたんだ!!」


絢斗

「そういうのは帰ってからしてください。

目障りです。

さっさとそこのバカ共を連れて帰ってもらえませんか?

まだ昼飯も食べれてないんですよ…おまえらのせいでな。」


意味がわかってないバカ3人と

絶望を噛み締めている両親達。


ざまぁする気はなかったが

つっかかってきたのはあちら側だからな。

これで俺の学校生活に平穏が戻ってくる…はず。




~~~~~~~~~~~~~~


※にゃんぺろから一言

この作品には暴力的な展開を望んでいないので今後そのような展開になってもササッと終わらしちゃいます。

たぶん。

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