第23話 ママになってください!



302号室に着いたのでノックをするとドアが少しだけ開かれた。


???

「入ってちょうだい。」


ん?女の子の声?

ドアを開けると大人数の陽キャが…

いないな。


ゴスロリファッションに身を包んだ

美少女風の女の子が1人だけだった。


美少女風と言うのは

薄暗い照明と顔を隠すヴェールで顔が見えにくいからだ。


ゴス少女

「座ってちょーだい。」


絢斗

「は、はい。」


ゴス少女

「あなたが?」


絢斗

「七条院絢斗です。」


ゴス少女

「サングラスとマスク。」


絢斗

「失礼しました。」


サングラスとマスクを外すと

女の子はピクッと反応したように見えた。

とにかく話を進めなくては。


絢斗

「あ、あの、柚子檸檬先生はこちらに来られないのでしょうか?」


ゴス少女

「何を言っているのかしら?」


絢斗

「いや、だから先生は」


ゴス少女

「私が柚子檸檬なのだけれど。」


絢斗

「え?いや、は??」


ゴス少女

「耳が悪いのかしら?」


絢斗

「いや、でもさっきの人は」


ゴス少女

「あれは私のサークルメンバー。

ただのよ。」


下僕て…

あんのハフハフ星人!!!

まぎらわしいんだよ!!!


絢斗

「ほ、ホントにあなたが先生なんですか?」


柚子檸檬

「で、私に要件があるんじゃないのかしら。」


そ、そうだ!言わなきゃ!


他人に何かをお願いすることに慣れていない俺からすると

地面から二階のベランダに飛び移るほどのハードルの高さだ。


絢斗

「お、俺の…

ママになってください!」


柚子檸檬

「・・・・私でオギャりたいの?」


絢斗

「え?いや、ちが」


柚子檸檬

「私はまだ15なのだけれど

ママみを感じるなんてなかなかの変態さんね?

警察を呼んだ方がいいのかしら。」


15だと!?

15才のゴスロリ美少女相手にオギャる…うん、悪くない。

ばぁぶー


いやいや、ないない!!!

なんだこのトリッキーなハニートラップは!?

待て!落ち着け!


絢斗

「実は今回VTuberデビューしようと考えてまして」


柚子檸檬

「私にキャラデザを頼みたいと?」


絢斗

「はい…っていうかあのビデオカメラはなんですか?」


柚子檸檬

「常に資料は必要なの。」


絢斗

「・・・はい?」


柚子檸檬

「常に資料は必要なのよ。」


絢斗

「いや、だからなんで撮影して」


柚子檸檬

「あなた、耳は本当に大丈夫なのかしら?

いついかなる時でも

シチュエーションを撮影して保存しておけば

資料として生きてくるのよ。」


絢斗

「そういう事ですか。」


柚子檸檬

「あなた本当に七条院絢斗なの?」


絢斗

「あのかどうかは知りませんが本人ですよ。」


柚子檸檬

「ドラマは全て見たわ。」


絢斗

「はあ。」


柚子檸檬

はあなたのようにデカくなかったはずなのだけれど。」


絢斗

「そりゃ僕もまだ17なんで

成長しますよ。」


柚子檸檬

「で、コンセプト決まっているのかしら?」


絢斗

「中性的。」


柚子檸檬

「あなたはどこからどう見ても

男らしい男なのだけれど?」


絢斗

「ん、んん、あ、あぁ、あ~、

『あなたはどこからどう見ても男らしい男なのだけれど。』」


「!!!」


絢斗

「『どうかしたのかしら?』」


柚子檸檬

「どこからそんな…私の声…」


絢斗

「これが僕の武器です。」


柚子檸檬

「どんな声でも真似できる、と?」


絢斗

「今の所人間なら出来ない声は無いですね。

リクエストがあればお応えしますよ。」


柚子檸檬

「では私の推しの…」

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