第20話 JDと

一通り絵師さんの代表作を見たが全部可愛い。

それぞれ個性と愛情が感じられてとても魅力的である。

しかしまだ自分の中のキャラが決まりきっていないためピンとこない。


絢斗

「因みになんですが秋風さんが今のキャラを選んだ理由は?」


紅明

「選んだんじゃなくってママを、

紅葉さんを紹介してもらった時に

紅葉さんが僕のママになりたい!って言ってくれたんだよ。

それからいっぱいお話して今の僕の体と名前をくれたんだ。」


絢斗

「なるほど、キャラが先ではなく紅葉さんと秋風さんが先だと。」


紅明

「そんな感じかなぁ。

僕の声やキャラクターを知ってもらってインスピレーションでって感じ?」


まずは絵師さんとの出会いからか…


たしかに目の前にいる秋風さんと画面の中の秋風さん、

見た目は全く違うけど面影があるかも…


絢斗

「そうか、キャラにあわせる必要が最低限で済むし

リスナーさんに自然な感じで無理を感じさせる事無く話せる。

秋風さんの配信がスッと入ってきたのはこういう事だったんだな。」


紅明

「え?ちょっと待って!

僕の配信見てるって事!?

ヤダヤダヤダヤダヤダ待って待って!無理無理無理ぃ!」


顔を両手で隠して足をバタバタさせている秋風さん…園児?


そんなに配信見られてるの恥ずかしいのか。

いや、そこがVTuberだからこそなんだ。


俺がVTuberに興味をもったのもそこだからな。

対面せずに擬似的に対面出来るんだ。


絢斗

「ネットで対戦型ゲームをしてる時にコメントくれた人がいてね、

動画配信を見て立ち回りを覚えるべきだって。

スマホで動画配信みてたら知人に秋風さんの配信をオススメされたんですよ。」


紅明

「へぇ、きみがゲームなんてするんだ?

全然そういう感じには見えないね?」


絢斗

「ハハハ、けっこうな時間ゲームしてますよ。」


紅明

「ちなみになんだけどそのゲームは?」


絢斗

「色々やってますがエビが多いですね。」


紅明

「エビなんだ!

僕も配信外で別アカでよく遊んでるよ」


※エビとはABIXエイビックスという対戦型ゲームである。


絢斗

「配信の練習してるんですか?」


紅明

「練習もあるけど普通に遊んでるよ?

よかったら今度戦ってみる?」


絢斗

「ハハハ、勝てる気がしませんね。

機会があればご教授願いたいですが。」


紅明

「僕はいいよ?幸田ちゃんいいよね?」


幸田

「別アカなら問題ない…とは言い切れませんね。

以前そう言ったスキャンダルで

箱から追放されたVTuberもいましたし。」


紅明

「あぁ、いたねぇ。」


カチャ


浜崎

「絢斗様、こちらでしたか。」


絢斗

「浜崎社長、話はまとまりましたか?」


浜崎

「大まかな方向性ならいい感じにまとまりつつありますね。

細かい事はまだまだこれからなのでそれがまとまったら改めてオファーさせていただきますので

何卒我が社で宜しくお願いします」


絢斗

「そうですね、

が協力してくれるのは頼もしいですね。

わかりました、

楽しみにお待ちしております。」


社長と俺の話を聞いていた幸田さんと秋風さん、社長の後ろに控えている秘書さんが一斉に社長をギョッとした感じで見ている。


幸田

「しゃ、社長?ってどういう事ですか?」


紅明

「そうだよ!なんでなのか僕たちに説明してよね!」


不穏だ…とてつもなく空気が不穏である。

ここは撤退すべきタイミングのはず!


俺は武井さんにアイコンタクトして撤退を促す。


武井さんは軽く頷き返してくる。

さすが武井さん、この優秀さよ。


武井

「では絢斗様、

どちらの方をご所望ですか?」


絢斗

「はぁ!?なななななにを!」


武井

「いえ、ですからこちらの4人のレディの誰をご所望かと」


絢斗

「ちっっっげぇよっ!!」


そこ!!

小さく手をあげなくていいから!


武井

「しかし、テイクアウトサインを私にされたので

てっきりお爺様から教わっているのかと…」


絢斗

「何そのサイン!?」


武井

「お爺様がお気に召された方と2人になりたい時に…」


絢斗

「ああああ!聞きたくないぃぃぃ」


武井

「帰ったらお教えましょう。」


絢斗

「い、いらないですぅ!

そこの幼女!

顔真っ赤にするなら手をおろせ!」


紅明

「幼女って言うな!

こう見えても大学じゃモテモテなんだから!」


絢斗

「その言い寄ってくる奴らをリストアップしとけ!

絶対崇高な趣味人達だぞ!

逮捕だぁ!」


紅明

「わぁ、とっつぁんそっくり~w」


武井

「絢斗様、そろそろお時間です。」


絢斗

「それだよ武井しゃん…

実際もっと話を聞きたかったんだけど」


浜崎

「では!応接室で今後の事を!」


時間だっつってんだろ!

仕事しろ!


絢斗

「ハハハ、ご冗談を。

お忙しい中時間を取らせてしまいました。

有り難う御座いました。」


紅明

「あ!社長!この人とゲームしたいんだけど連絡先交換してもいいよね?」


浜崎

ピクッ「あなた、それがどういう事かわかって言ってるの?」


紅明

「スキャンダルにならないようにするから!」


絢斗

「ゆみさん、

VTuberの事とかもっと聞きたいですしお願いできませんか?」


浜崎

はぅ!「あ、絢斗様のお願いでは断れませんね…」


幸田

「社長!?」


鈴木

「幸田さん、社長にも色々と考えがあるのです。

あとで説明します。」


幸田

「鈴木さんまで…わかりました。」


浜崎さんと鈴木さんまで連絡先を交換しようとしてきたので

武井さんを通してくださいと伝えるとショボンとしていた。

これで秋風さんから直接情報収集ができるな。


あと武井さんの有能説はほぼ誤解だったこともわかった。


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