第19話 なでぽ



「あぅ助けてぇ…」

女の子は恐怖で萎縮してしまった声をなんとか振り絞ろうとしているが声になってない。

悪い事しちゃったか?

むっちゃビビってるしなぁ。


絢斗

「あの…」


女の子

「ひゃあ!うぅぅ…」


ダメだこりゃ。

しかし、女の子がけっこう騒いだのに誰も来ないな。

あ、そうか、サングラスとか外せばいいんだ!

ササッとサングラスとマスクを外し出来る限り優しい声で話しかける。


絢斗

「驚かせちゃってごめんね?」


声色が変わったのに気がついたのかチラッとこちらを見て固まる女の子。


絢斗

「今日、訪問の約束してたんだけど聞いてない?」


女の子

「あ、あぅ」


絢斗

「大丈夫?立てる?」


そっとてを差し伸べると恐る恐るだが掴んでくれたので

優しく引っ張り起こしてみる。


女の子

「あ、ありがとうです…」


絢斗

「とにかく一旦落ち着こうか。

そこに座って?」


女の子

「はい…」


っていうかこんな小さい子がなんで会社にいるんだ?

誰かスタッフさんの娘さんかなぁ。


部屋に設置されている自販機で水を買って渡す。


絢斗

「さ、これ飲んで落ち着いて?」


女の子はコクコクと少し水を飲んでふぅ…と一息ついた。


こっちがふぅ…ってしたいわ!なんで客の俺がこんな面倒な目に!?


女の子はまだ興奮しているのか緊張しているのかは知らないけど

赤い顔してじっとこっちを見つめている。


はぁ…帰りたいっ!

一刻も早く部屋に籠もりたい!


そんな気まずい空気を壊してくれたのはやはり武井さんだった。


武井

「おや?この娘は?」


絢斗

「ああ、なんか部屋に突然来て騒ぎだしたから落ち着いてもらった?

ここのスタッフさんの娘さんじゃないかな?」


女の子

「ちちち、違います!僕はここのタレントです!」


絢斗×武井

「ええ!?」


女の子

「ええってなんですか!?

失礼ですね!」


絢斗

「だってこんな小さな子がタレントだなんて思わないよ…」


女の子

「小さいって言わないで!

僕はこう見えても18才の大学生なんですけど!」


え?年上?

えぇ…うそーん


そう言われれば

たしかにまあまあ良いをお持ちのようだ。

薄着だからふっくら盛り上がって可愛く主張しているのがわかるね。

ギャル子さんには遠く及ばないが…


女の子

「君ねぇ!

今すんごく失礼な事考えたでしょ!」


絢斗

「ちょっと何言ってんのかわかんないです。」


女の子

「サンドだ!すごい似てる!?」


武井

「ん?絢斗様、サングラスとマスクを。」


絢斗

「了解。」


カチャ…


幸田

「あら、秋風さん?どうしてこちらに?」


女の子

「わわわわわぁぁぁぁ!!何で!?

何でキャラ名言っちゃうの!?」


幸田

「ああ、こちらの方は本社から来られたお客様ですので大丈夫ですよ?

というよりちゃんとお伝えしましたよね?

まさか忘れてたとか…」


女の子

「わわ、忘れてないよ!?

ちゃんと覚えてるし!

僕がそんなポンなわけないじゃないか!」


その慌てようは絶対忘れてただろ…


ってかこの可愛い合法ロ…お姉さんが秋風紅明か?

一部の住民が黙っちゃいないぞ!?

身バレなんかしたら誘拐確定じゃないか!


幸田

「絢斗様?何をしているんですか?」


絢斗

「え?」


自分でも気づかない内に秋風さんの頭を撫でていただと!?

うぉぉぉ、急に庇護欲が湧いちゃった!?

秋風さんは耳まで真っ赤にして

プルプル震えてる…

やっべぇ、怒らせちゃったよ。


絢斗

「ごほんっ!

さ、本題に入りましょうか。

リストを見せてください。」


幸田

「・・・・・・。

はい。こちらが我が社が取引させていただいているイラストレーターのリストと代表作です。」


お?この人…


幸田

「その方は秋風さんの担当絵師さんですね」


紅明

「あ!紅葉ママの事?」


絢斗

「んお!?あの…秋風さんは退席しないんですか?」


秋風さんが横からニュッと頭を出してきた!?

まだいたのね…びっくりしたぁ。


紅明

「えぇ、いちゃダメなヤツ?」


絢斗

「いや、ダメっていうか…」


幸田

「ももも、申し訳ありません!

すぐに退席させますので!」


絢斗

「別にいいですよ。

実際にタレントさんから話を聞けるとは思ってませんでしたし

お話を聞かせていただけるのなら逆に居て欲しいくらいです。

会えるとも思ってませんでしたし、

光栄です」ナデナデ


幸田

「絢斗様、また…」


ぬ?またナデナデしてた…だと!?

デヘヘヘとだらけている秋風さんからパッと手を放すと「あっ…」って。


これがナデポか!?そうなのか!?


ナデポなんて有り得るわけがないと思っていたが…

ラピ●タナデポは本当にあったんだ!


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