第17話 おまえもか!?

浜崎社長と二人きりになったので早速売り込み開始だな。


サングラスとマスクを外し挨拶する。


絢斗

「初めまして、七条院絢斗です」


浜崎

「は?え?なんで?」


絢斗

「僕が七条院というのは社長と僕だけの秘密ってことにしておいてください。」


浜崎

「へ?あ、はい…絢斗君?」


絢斗

「はい…?絢斗ですが?」


浜崎

「ドラマ!見てました!」


絢斗

「ああ、昔の事ですよ」


浜崎

「あ、え?でもなんで??」


絢斗

「いや、VTuberに興味が…」


浜崎

「絢斗君だ!絢斗君だわ!!」ハァハァ


絢斗

「いや、だからVTuber…」


浜崎

「ヤバい!どうしよう!」ハァハァ


絢斗

「武井さーーーーん!!!!」


なんか雪さんと同じ雰囲気が出てきたので即ヘルプだ!


ドアを空け飛び込んできた武井さんは一瞬で状況を把握したのか

バッチーーーンとビンタ一発。


やはり女性相手でもビンタできる武井さんは頼りになる。


はっ!と気を取り直した社長が華麗にジャンピング土下座を繰り出し

「も、申し訳ありませんでしたぁぁぁ!!!!」

と盛大に謝罪。


ドアの外から見ていた秘書さんが

ヤレヤレだぜ…みたいな感じで首をすくめていた。


仕切り直して俺の後ろに武井さん

社長の横に秘書さんというフォーメーションで話を続ける。


絢斗

「浜崎社長、落ち着きましたか?」


浜崎

「ゆみ、と呼んでください」


絢斗

「ではゆみさん、話を続けても?」


社長は「はぅっ!!」と叫んでパタタタタと鼻血をたらしている。


話が進まねぇー…


秘書さんからもう一発ビンタをもらいやっと落ち着いたようなので話を続ける。


浜崎

「では絢斗様自身がVTuberをやってみたいと?」


絢斗

「そうです。昔から人に喜んでもらう事が好きだったんです。

僕が何かを演じていると両親や祖父母が喜んでくれて、

周りの人達も凄く喜んでくれていた。

両親が亡くなってからはメディアに出る事は辞めてしまいましたが

祖父母のおかげで腐らずにすみました。

そして今は独りになりましたが

幸いな事にこんな僕でもまだ心配してくれる人達がすぐ近くにいたから僕は今ここにいます。

ネットで知り合った人に動画配信を教えてもらいクラスの知人からVTuberの存在を教えてもらいました。

これだ!って思いましたね。

まだ僕にも人を喜ばせる事ができるんじゃないかって。

陰キャでボッチな僕でもネット越しなら、VTuberならって思いました。」


浜崎+鈴木

「陰キャでボッチってどこの誰が!?」


絢斗

「いや、どこからどうみても僕しかいないと思いますが?」


浜崎

「…。コホン、

でも、いくら演技が上手で見た目が美しいからってVTuberとして人を喜ばせる事は簡単ではないですよ?

成功しているのはほんの一握りだけです。」


絢斗

「はい、でもやってみたいんです。

僕には演技と声っていう武器があります。

その武器で画面越しの視聴者さん達を喜ばせてみたいんです。」


浜崎

「男性VTuberはさらにハードルが高いです。」


絢斗

「それは売り方でどうとでもなると考えています。

まず、今の僕ができる事を知ってください。」


そこから俺は今まで積み上げてきた成果を披露した。

有名人のモノマネをしながらトークや歌など、出来うる限りを尽くして浜崎社長にアピールをした。


浜崎

「すごい…もうVTuberとかの次元じゃないわ。

あなたのその才能があれば…」


絢斗

「父が亡くなってからはもうメディアにでる意味は無くなりました。

でも誰かに喜ばれる事がしたい。

だからこそバーチャルのVTuberなんです。」


浜崎

「もうメディアにでる必要は無くなったと?」


絢斗

「先ほど社長も言ってたでしょう?

テレビ離れした視聴者を引き込むって。

表に出なくても面白いと思ってくれれば視聴者はついてくれるはずです。

逆に人気が出なくて視聴者がつかなかったとしても

さっと辞めちゃえば誰も気づかないわけですし僕の日常にも影響はでませんよね?」


浜崎

「確かにそうですね。

あなたの財力があれば金銭面でどうこうという事はないでしょうし。」


絢斗

「はい、なのでこちらでノウハウを学ばせていただいてから始めようかと。」


浜崎

「その必要はありません。

我が社からデビューしてもらえるなら私が完璧にサポートいたします!」


絢斗

「でもブライドは女性だけだと言っておられましたよね?」


浜崎

は女性だけです。

なので新たに部署を設立します!」


鈴木

「社長、その部署は私にお任せください。」


浜崎

「鈴木?」


鈴木

「お話を伺っていて思いました。

絢斗様のサポートをしてみたい!

と。私のインスピレーションが働いたのです。

ブライドの姉弟きょうだいブランド

『グライド』」


浜崎

「グライド…

いいわ!凄くいいわ!!」


鈴木

「社長秘書は私の後輩に当たってもらいます。

私は絢斗様専属のマネージャーとして全て取り仕切ります。」


浜崎

「その辺の事はじっくり煮詰めていきましょう!やるわよ!!」


絢斗

「あのぉ、ボッチなんで無視は慣れてますけど

俺自身の事で無視するのはやめてモロテ…」

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