第15話 禁断の内部

3人に誘導されビルに入った俺は違和感を感じていた。


鈴木

「こちらの部屋へお入りください」

案内されたのは応接室だ。


浜崎

「絢斗様、我が社へご訪問いただき有り難う御座います。

我が社の活動にご興味がお有りと伺いましたが」


絢斗

「そうですね。

色々と興味はあります。

見学させていただく前に

ブライドの概要などをお聞かせ願えればと思っております。」


浜崎

「昨今のテレビ離れはご存知でしょうか?

その離れつつある視聴者を

こちら側に取り込む事ができれば成り立つビジネスだと考えております。

実際このネット時代、

UTubeの利用者数を考えれば

そこにチャンスを感じずにはいられない状況です。

1人のキャラが視聴者を掴む事に成功すれば

1人のアイドルがブレイクしたのと同義です。

広告収入、スパチャ、メンバーシップなど、

UTube側からの収入にプラスαで

ブレイクしたアイドルの音源やグッズ販売などの売上も予想されます。

さらにそこから企業様からの案件も入る可能性もあります。

演者とイラストレーターが揃えば可能性は無限大です。

私達はそれらをプロデュースする事で

夢を持つ演者やイラストレーターをサポートしていき、

共に成長していく事を仕事だと考えております。」


絢斗

「なるほど、夢はでっかくですね。

いいですね!

ブライドは現在何名のタレントをサポートしているんですか?」


浜崎

「絢斗様、サポートと認識くださり有り難う御座います!

たいへん嬉しく感じております。

現在我が社に在籍しているタレントはバーチャルアイドルが4名です。

2人のタレントにマネージャー1人の体制を取っております。」


絢斗

「4名ですか?少ないですね。」


浜崎

「我が社はまだ一年目を乗り越えた出来たばかりの若い企業ですから。

もちろんこれから増員していく予定ですよ。

VTuberになりたい演者希望の卵達はたくさんいますから。

年内にはライドル二期生がデビュー予定です。」


絢斗

「ライドル?」


浜崎

「ブライド所属のアイドルなのでライドルです。」


絢斗

「なるほど。

しかし、アイドルタレントを扱うのはスキャンダルなどのリスクもありますよね?」


浜崎

「その辺りは徹底しております。

我が社のスタッフはガードマンを含め全て女性ですし

男性VTuberとのコラボなども

一切行っておりません。」


絢斗

「ああ、それだ!

ビルに入った時から感じていた違和感。

女性だけの空間だから男には無い清楚さと華やかさがあるんだ。」


浜崎

「ウフフ、そのように仰ってくださったのは絢斗様が初めてですよ。

打ち合わせなどで来てくださった企業様などは…

これは失礼しました。

余計な事を。」


絢斗

「いえ、大丈夫ですよ。

という事は…

男性はブライドには所属不可能って事でしょうか?」


浜崎

「不可能というより考えた事が無いですね。」


絢斗

「実はVTuberになろうと勉強している陰キャの冴えないのが1人おりまして。

今回はそのための訪問でもあるんですよ。」


浜崎

「その方が男性だと?」


絢斗

「ええ、素性は明かせないですが七条院の血縁という事だけ伝えておきます。」


浜崎

「それは…。」


絢斗

「無理にねじ込む気はありませんのでご心配なく。

VTuberになるにはどんな機材が必要か、

どういった環境が必要かなど教えて頂きたい。

そして一度彼を見てもらって

どういった形が最良かアドバイス頂けるだけでも有り難いです。」


浜崎

ホッ…「アドバイスならお任せください。」


絢斗

「では、人払いを。

七条院に関する事なのでここからは浜崎社長お一人でお願いしたい。」


浜崎

ゴクリ「…わかりました。」


社長は秘書さんとマネージャーさんに席を外すよう目配せした。

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