第12話 まずは武井に!



弁護士さんもなんとか落ち着いたので

セキュリティーの人達は解散してもらった。


武井

「坊ちゃま、

これから何か相談事がある時はまずは武井に連絡してください。」


絢斗

「え、だっておっちゃんハウスキーパーなんでしょ?」


武井

「ハウスキーパーは妻であって

私は七条院様、坊ちゃまのお爺様の護衛兼秘書です。」


絢斗

「おぉ、知られざる真実が今明らかに…」


武井

「知らなかったのは坊ちゃまだけですが…

というより何度も説明していたのですが?

坊ちゃまが上の空で聞かれていなかっただけですよ。」


絢斗

「あ~、なんかそのぉ、

ごめんなさい?」


武井

「いえ、昔からなので気にはしておりません。

ちなみに雪さんは坊ちゃまの従姉妹ですが

お婆様が亡くなられたので七条院家とはすでに関係は途切れております。

ただ、素性が知れているので後見人を任せていただけです。」


絢斗

「そうなの?」


武井

「今現在坊ちゃまが所有している財産は七条院家の財産のほんの一部です。

坊ちゃまが成人された時に全てが坊ちゃまのモノとなります。

それまでの管理や手続きを担当する為の後見人です。」


絢斗

「そんなんで会社?グループは大丈夫なんですか?」


武井

「お爺様に大恩のある信頼できる人材が上層部にいますし

私も目を光らせておりますので。

そのような難しい事は坊ちゃまが成人した後にとお伺いしております。」


絢斗

「ん~、わかりました。今はそれでいいです。」


武井

「なのでまずは武井に!

ご相談下されば全て解決いたしましょう。

後見人がでしゃばるなど有り得ませんな。

雪さんは形式上は親戚なのである程度は許容しておりましたが、

あれでは…」


絢斗

「うん、わかった。

これからはおっちゃんに連絡するよ。

ありがとう。」


武井

「して、今回のご相談と言うのは?」


俺は今回の感じた感動を全て話した。


武井

「なるほど、VTuberですか。

よく考えつきましたね。

坊ちゃまにピッタリだと思います」


おぉ!なんか好感触だ。


武井

「早速手配します。」

おっちゃんはどこかへ電話している。


弁護士

「あ、あの…絢斗くん」


絢斗

「弁護士さん、鼻血は大丈夫?」


弁護士

「ええ、もう止まっているわ。

あの、さっきはごめんなさい。

このマンションの購入の時以来全然連絡くれなかったからもう私はいらないのかなって、

用済みなのかなって勝手に思ってこじらせちゃってたの」


うわぁ、面倒臭いお姉さんだ…


弁護士

「あなたが小学生のころ、

雑誌やテレビに出てた頃ね、

母親に『この男の子はあなたの従兄弟なのよ、住む世界が違いすぎて会う事はないでしょうけど』って。」


絢斗

「いや、普通に一般人として生活してましたが…」


弁護士

「それはお爺様の教育だからよ。

でもお爺様が亡くなる前に声をかけていただいたの。

一番信用できるのは身内だけだって。

それであなたの後見人を引き受けさせていただいたのよ。

グループ内にはもっと優秀な弁護士がいたんだけど私は親戚だからって。

こんな無愛想な顔してるけど嬉しかったのよ。

だからお願い、弁護士としてだけじゃなく親戚のお姉さんとしてまた連絡して?

もう襲ったりしない…と思うし。

武井さんがいる時でいいから…お願い。」


絢斗

「おっちゃんいる時限定でお願いします…」


武井

「そうです!

まずは武井ですよ!坊ちゃま。」

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