第10話 Vを知る。



帰宅後。


後見人の弁護士さんに週に一度の定時報告を済ませる。


報告といっても電話で不都合の有無を伝えるだけなので

いつもなら秒で終わるんだが

今回は陽キャの田中に絡まれた事もグチってしまった。


ギャル子さんの事は言わなかったんだが。


夕飯まではまだまだ早い。

早退したからな。


まずは面倒な事から片付けるか。


スマホを確認すると

しっかりとメッセージアプリがインストールされていて

未読メッセージの通知がきてる。


ギャル子さん…仕事早いな。


東雲

『今日はありがと!楽しかった♪

ってか気分転換にまた誘っていい?付き合って欲しいなぁ?

それとリンク送ったから配信見ること!』


短い文章の後にUTubeのリンクと

さらにその下に今日撮ったプリが貼り付けてある。


通常モード演技無しで見たらかなり恥ずいんだが!?


うわ~、俺こんな顔して写ってたんか…


恋人モードの時はギャル子さんしか見てなかったからなぁ。

うわ~、ギャル子さん顔真っ赤。


でも嬉しそうな表情してるな、

なんか人に喜んでもらえるのって

やっぱ好きだなぁ…


そうだ、動画配信だった。

見なきゃな、

せっかくオススメしてくれてんだし。


リンクスタート!

ポチッとな。


スマホの画面に映し出された光景に俺は言葉を無くす。


可愛い女の子キャラが表情豊かに喋りながらゲームしている。


へぇ、AIってやつか?

アニメーションと連動してちゃんとしゃべってる…


いや、違うなこれ!?

モーションキャプチャとか言うやつか?


だよな?


3Dっぽい動き方してるし。話してることが人間くさすぎる。


なるほど、これは面白いな。

視聴者、リスナーというらしいが

リスナーとの掛け合いも面白い!

ワクワクする!

そしてその女の子もキャラが立っていてトークに引き込まれる!


ハァ…面白かった。

いいじゃんコレ!


Virtual-UTuberバーチャルユーチューバー

VTuberか。


俺みたいな表に出たくない陰キャが姿を晒さずに配信できる!

これしかねぇ!


俺はそのあとも配信画面からのリンクをたどり

色んなVTuberの配信を視聴しまくった。

人間、獣人、エルフ、かなり自由度が高いな。

中には猫や犬が音声に合わせて喋ってるシュールなのもあった。


でもどうやるんだコレ?

調べよう。


マイクにカメラにアプリに…

なんかいっぱいいるな。

個人でやるのか箱に入るのか?

箱ってなんだよ?


・・・・・・・


なるほど。

わからん。


困った時のお姉さま、

後見人の弁護士さんに相談しよう。


絢斗

『かくかくしかじかってわけで相談したい事があるんです。』


弁護士

『そのかくかくしかじかってところを詳しく話して欲しいのだけれど?』


絢斗

『魔法の言葉のはずだから

通じるかと思ったんですけど?

わかりませんでしたか。』


弁護士

『それでわかってしまうほど

私も万能ではないわ。

まあいいわ、夕飯はまだよね?

今からそっちに行くわ。』


絢斗

『あ、夕飯はハウスキーパーさんが用意してくれてるかも?』


弁護士

『じゃあ屋敷のほうには私から連絡しておくから

家で大人しく待ってなさい。

何か美味しいモノでも食べに行きましょう』


絢斗

『外食はちょっと勘弁して欲しいんですが?』


ピンポーン


絢斗

『ちょっと待ってください。

なんか誰か来たっぽ…い?

はぁ!?』


まだ電話してる最中なのに

オートロックのカメラに弁護士さんが映ってるんですが!?


絢斗

『お入りください…』


弁護士

『ありがとう。』


なんだこの人??

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