第9話 プリクラ



東雲

「え…?」


ギャル子さんが俺の髪を上げた状態で止まってる。

ヘアピンでも探してんのか?


絢斗

「あの?」


声をかけて目を開いてみた…


東雲

「きゃあああああ!」


なんか叫ばれて手で目隠しされたんだが?


東雲

「ちょっと待って!

スーハースーハー…んっんん!

はい!ピン留めるから目を閉じててよ」


絢斗

「ん???ああ…」


パチンパチンと髪を束ねて留めているようだが

少し震えているような。

そんなに陰キャに触るの嫌ならやらなきゃいいのに…


しゅしゅ~ってなんかスプレー?

整髪料か?なに人の髪で遊んでんだよ。


東雲

「はい、いいよ」


絢斗

「おお、ん??

なんじゃこりゃあ!?」


東雲

「い、いや~、

なんか髪触ってたら盛り上がっちゃって、てへぺろ♪」


絢斗

「てへぺろ♪じゃねぇよ!

可愛いなクソ!まあいいや、

早く撮ろうぜ」


やっと撮影?が開始されたんだが…


絢斗

「なんかギャル子さん距離がバグってない?」


東雲

「え、えっと、そんな事無いし?

プリなんだからこんなもんっしょ?

そんな事よりさ、

せっかくあーしと撮るんだから

もうちょっと雰囲気出してよぉ。」


絢斗

「雰囲気って?たとえば?」


東雲

「この世で一番大好きな彼女と

ラブラブしてまぁす!

みたいなアピールが欲しいよね?ね?」


絢斗

「ね?て聞かれても…」


東雲

「お願ぁい、今日あなたと共有した楽しい思い出を残したいの。」


絢斗

「ああ、ゲームは楽しかったな。

ホッケー盛り上がったしな」


東雲

「でしょ!?」


絢斗

「ん~、ちょい待ちな」


ラブラブか…

あんまり恋愛運系の演技ってしたこと無いんだよなぁ…


絢斗

「リクエストは?

ツンツンとかアマアマとか俺様系とか」


東雲

「あ、あ、あ…

アマアマでおなしゃっす!」


絢斗

「誰だよ…キャラ変わってね!?」


おなしゃっす!てなんだよ…

アマアマかぁ、ん~、よし。


そこからは変なキャラのガイドに従い何種類かのポーズを決めて撮影。

陽キャ的にワンポーズ

見つめ合ってワンポーズ

肩を抱いてワンポーズ

バックハグでワンポーズ

頬にキス(寸止め)でワンポーズ

おまけでギャル子さんが膝から崩れて終了。

疲れたんか?


絢斗

「愛?大丈夫?顔、赤いよ?

少し休憩してから帰ろうか。」


東雲

「はぅぅっ!」


脇から腕を差し込んで立たせたんだがスライムがね…

すんごいやぁらかかった…


不可抗力です!

俺は無実だぁ!!


本人気にして無さそうなのでそのまま腰を抱いてベンチへ誘導、

座らせた所でアマアマタイム終了~。


久々にやった演技したけどまだいけそうな感じはあるか。でもブランクあるからなぁ。


横の自販機で水を買ってギャル子さんに渡す。


絢斗

「これ飲んで?

ちょっと落ち着けばいいよ。」


東雲

「あ、あんがとぉ…」


耳まで真っ赤とかウブか!?

あ、処女とか叫んでたか。


しかし、そんな反応されたら

こっちも恥ずかしくなるだろうが…

ポリポリ


絢斗

「読モやってんだろ?

写真撮るくらいで緊張しすぎじゃない?」


東雲

「読モはバイトだもん。

男の子とツーショットとか初めてだったし…ゴニョゴニョ」


絢斗

「だもんって…」


東雲

「なに?文句でもあんの?

そうだ、連絡先教えてよ」


絢斗

「なぜ!?」


東雲

「プリ送るのとオススメの配信!

見て欲しいから」


絢斗

「先に言っとくけどメッセージアプリとかインストールしてないから。

家じゃスマホ見ないし」


東雲

「うっそだぁ?

いいからスマホ貸して!」


絢斗

「ぼっちの俺がそんなメッセージアプリとか使ってると思ってる方がおかしいんだが?」


ギャル子さんは俺からスマホを奪い取り何か操作しているが顔が…

にやけてるんですけど?

スマホ好きなんだなぁ。

さすがギャル。

スマホ没収されたら

電池切れのおもちゃみたいに

魂抜けるんじゃなかろうか?


東雲

「はい、ってかマジで何も入ってなかったんですけど!?

とりあえずアプリインストールしてあーしの連絡先入れといたから!

あとでメッセ送るから絶対見て!」


絢斗

「ハァ…

あいよ。んじゃ、帰るわ。」


東雲

「ちょぉっと!もぉ!」


ギャル子さんと別れ家路につく。

まぁまぁ楽しかったなぁ。

久々に人と触れ合った感じ。




悪くは…なかったかな。


だが俺はプロのボッチを目指す者。

そう易々と懐柔されたりはしないのだ!


あと、おっぺぇすごかった。


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