第6話 サンクチュアリ



東雲

「さ、いこっか♪」


round10のゲームコーナーを出ようと歩き出すギャル子さん。


俺のサンクチュアリにこのギャル子さんを入れたくない。


なんとかならないものか…


俺氏

「あ、あのぉ…お名前をお聞きしても?」


東雲

「はぁ!?今頃なん?

東雲しののめあい

覚えてよね!」


俺氏

「好きな芸能人とか推しいる?」


東雲

「あ!SAOの主人公とか?」


おぉふ、アニメできたか…

「他には?」


東雲

「ヒゲダンとか好きかもぉ。」


俺氏

「ほほぅ」ニヤリ


きたぞ!

勝利の女神は俺に微笑んでくれているようだな。

ギャル子を家に連れて行かなければ俺の勝ちだ!


ヒゲダン降臨!

「おぉ、きみきみ、どうしたんだい?そんなにあわてて」


東雲

ビクッ「え?いや、

今からあんたの家にいくんでしょ?」


俺氏

「俺の家かーい!続けて?」


東雲

「いや、だからあんたの家でオススメ配信を」


俺氏

「ここでスマホで見たらええやないかーい!」


東雲

ビクッ「な、何?さっきから…

なんなの?」


俺氏

「ヒゲダンやないかーい!

ボンジュール」


東雲

「…●ゲ男爵じゃないよ!?

オフィシャルでダンディな方!」


えぇ…そっち?

渾身の男爵様だったのになぁ。


東雲

「そんなに家に入れるのやだ?」


俺氏

「いや、逆になんで家に行きたいんだよ…

普通は男の家なんか何されるかわかんねぇんだから行かないだろ」


東雲

「え~、何かするのぉ?」チラッ


俺氏

「し、しねぇやい!」


東雲

「じゃあいいじゃん♪」


ヤバい、このままだと堂々巡りだ…。


東雲

「(きっとボロアパートとかで女の子呼べるような家じゃないのかも…)

あーしは気にしないよ?」


俺氏

「なっ!?」


東雲

「別にいいよって言ってんじゃん」


俺氏

「お、お、お前ビッチか?

ピッチなのか!?

もっと自分を大切にしてだな!

将来の旦那様がガッカリするような事しちゃいけないと思うんですよ!僕は!!」


東雲

「・・・・?え!?ちがっ」


俺氏

「というわけで家は無し!

何か違うことにしよう。」


東雲

「違うって!あーしまだ処女だし!

男と付き合ったことなんて無いしっ!」


俺氏

「お、おい…

天下の往来でなんつーカミングアウトしてんだよ…

こっちが恥ずかしいわ!

はい、離れて!早よ!

同類認定される前に!早よ!!」


東雲

「あっ…」カァァァァ



ギャル子さん、処女だったんだね。顔真っ赤にしてカワユス。

とりあえず一言。


ゴチ!


東雲

「じゃああんたの奢りでプリ!

それで許してあげる!

それと次ピッチ言ったらひっぱたくから」


「俺はまだ17で結婚はできない、

そして嫁もいないんだが…。

ニュアンス的にはとても、そう!

とてもそそられるワードだが

NTRは俺の倫理観が許さないというか趣味じゃないんだ。」


東雲

「不倫じゃねぇし!

プ・リ・ク・ラ!」


俺氏

「紛らわしい言い方してんじゃねぇよ!

何でもかんでも略しやがって…

これだから陽キャは。」ブツブツ…


東雲

「え!?なんであーしが悪いみたいな雰囲気だしてんの!?」


俺氏

「いや、だいたいこんな陰キャと写真なんか撮って嬉しいんか?」


東雲

「大丈夫!補正でどうとでもなるよ!

よし、いくよ!なに?

それとも今から密室で2人っきりでカラオケしたいの?

やだぁ、エッチぃ」


俺氏

「しゃ、写真なんか撮られ慣れてるし!?

別になんでもないんだからねっ!」


東雲

「んじゃ、けってーい♪いくよぉ」



ブサメン確定されてて草。

たしかに髪は長いしメガネだし前髪で顔なんかわかんねぇし。


自分で言ってて悲しくなるな…

だがこれがいいのだ。


空気陰キャになりきるには顔は邪魔。

他人に認識されずひっそりとね…


あ~、週明け面倒だなぁ。

田中だっけ?

ギャル子さんとバイバイしたあと

ちょっとしめとこうかなぁ…


そうだな!

一発肩パンやられてるし

静かな暮らしのためにも?

そうしよう!


しっかしこのギャル子さんは強引だな。

少し考え事をしていた俺は

また手を引かれてプリクラコーナーに連れて行かれる事になった。

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