第3話 テンプレ発動




陽キャ代表

東雲しののめさ~ん、

そんな陰キャほっといてさぁ、

俺らと食堂行こうよぉ?」


ほらきた。

俺らの女に手を出すなと言いたげなあの視線。

めんどくせぇな…


東雲

「ごめーん、あーしお弁当だから」


陽キャ代表

「食堂で一緒に食べようよ」


うわ、こっちくんなよ!


陽キャ代表

「てゆーかさ、お前さっき陽キャがどうとか言ってたよな?

調子のってんの?

陰キャのクセになにかたってくれちゃってんの??あ?」


ドンッと陽キャ代表が俺の肩を強めに殴ってきた。

いわゆる【肩パン】ってやつだ。


「ほらな、

人の迷惑考えないで話かけてくるからこんな事になるんだよ…

ったく、めんどくせぇな」


俺は席を立ち陽キャ代表を見下ろす。

体格に恵まれた俺はさらに体づくりも欠かしていなかった為

それなりに成長しているのだ。

今まで人と比べるとかしてこなかったからイマイチわからんが。


陽キャ代表

「うぉ!?でか!」


陽キャ代表も驚いているようだが

やられたらやり返さなきゃな。

おれは陽キャ代表のがら空きの腹に一発、

前のめりになった所を膝で二発目、

仰け反った所を裏拳で三発目。

三倍返しってヤツだ。


というイメージを脳内で仕上げ実行しようとすると


パーンッ


ギャル子さんの痛そうなビンタが炸裂し

陽キャ代表は「ほげらぁ!?」とか

意味不明な悲鳴を発しどったーんと尻餅をついた。

ギャル強ぇな!おい!

ただの金髪陽キャギャルだと思ってたらヤンキーギャルだったのか!


東雲

「暴力とかサイッテー。

この子何にもしてないじゃん!」


そうだギャルよ、

暴力はいけないんだよ?


陽キャ代表

「こいつ俺らの事バカにしてただろ!?」


ビンタされた頬をおさえながら

立ち上がる陽キャ代表。

大丈夫?鼻血でてるよ?


東雲

「俺らって、その中にあーしの事含まれてないよね?

それにこの子は誰がとか名指しで言って無かったじゃん。

陽キャとかバカとか言われて反応するって事は自覚してるんじゃないのん?」


陽キャ代表

「べ、別に俺らは…」


東雲

「俺ら俺らってなんであんたらいっつもグループなん?

あんたの意見じゃなくって総意の元あんたが代表して勝手に絡んできたってこと??」


陽キャ代表

「は?何それ?言ってる事わかんねぇよ!」


ギャル子さんのちょっとだけ頭の回転数が上がったような意見には驚いたが

それが理解出来ないからお前らはバカにされるんだよ。


東雲

「大丈夫?いこ♪」


いや、いこ♪って手を引っ張られても…

ほらぁ!もぉ!

陽キャ代表がこっちにらんでるよぉ!!


俺の静かで平和な学校タイム終了の予感…


まぁ、終了したらしたでやり返すけどな。

煽りに煽りまくって暴力を誘発して正当防衛でぶちのめして学校辞めるってのもいいかなぁ。


東雲

「あんた…なんか悪いオーラ出てるんですけどぉ?」


「あのギャル子さん…手、いつまでつないでんの?」


東雲

「なに?不満なわけ?

あーしだって恥ずいんですけど!

あんた手放したら逃げる気でしょ?」


逃げる気というより帰る気まんまんでしたが。

そして手は放せばいいのに…とは言わない。

ギャルと手をつなぐなんてもうこれイベントだよな?

ときメモみたいな?いや、古いか。相手はギャルだしR18路線も…


東雲

「あんたまた悪いオーラ出てるんですけど?

とりまここで話しながら食べよ?」


中庭でギャルと昼食とか…

リア充か!?


俺氏

「で?何の話だっけ?」


東雲

「てゆ~かあんた背高いね。

同じクラスなのに知らなかった。

田中ビビってたじゃんw」


俺氏

「田中って誰だっけ?

むしろあんた誰だよ!?

何でボッチに話しかけたりするんだ?嫌がらせか!?」


東雲

「田中ってさっきあんたに絡んでた…え~とあんたの名前何だっけ?」


俺氏

「クラスメイトの名前も知らないのかよ」ボソッ


東雲

「あんたがそれを言う?言っちゃう!?」


俺氏

「地獄耳ギャルか…略して耳ギャルさん?」


東雲

「略すな。そして耳ギャルは絶対やめて。」


俺氏

「わがままだなぁ。」


東雲

「え?なんであーしがわがまま言ってる風になってんの?え?」


俺氏

「もう用事ないなら帰ってもいいっすかね?」


東雲

「早退すんの?」


俺氏

「さっきの陽キャ達に絡まれんのめんどくさいし。

絶対来るだろあれ。」


東雲

「月曜でも来るんじゃないの?」


俺氏

「月曜は月曜。今日は今日。

今日がめんどくさい」


ちなみに本日は金曜日である。


東雲

「じや、あーしも帰ろっかなぁ。

あいつらあーしが自分ら以外の男子と話してたら

さっきみたいに引き戻そうとしてきて鬱陶しいんだよねぇ。

あんたらの持ち物じゃねぇっつーの。

いちいち声がデカいのも嫌だし。

キモいんだよね。

なんで陽キャっていちいちつるむんだろ。」


俺氏

「さあ?陰キャの俺にはバカ陽キャの考えはわからんよ。

あんたの気でも惹きたいんじゃねぇの?

そして俺からすればあんたも立派な陽キャなんだが?」


東雲

「あーしは読モやってるからこんな見た目してるだけで陽キャじゃないって。

オシャレが好きなだけ。

この金髪も地毛だから。」


俺氏

「うっわー、陽キャ中の陽キャだ…

とりあえず帰りたいんでズボンから手を放してもらえないだろうか?」


この耳ギャルさんは繋いでいた手を放すと

俺の逃亡を阻止するためにズボンをギュッと掴んで放さないのだ。


どうせ握るなら開口部のあるもう少し前方へ…


東雲

「あーしも帰るから。

ちょっと待って。」


俺氏

「いや、鞄とか…は

持ってきてるのな」


東雲

「お弁当入ってるからそのまま持ってきちゃったし。

で?早退してどこいくのん?」


え?ちょっと待てって。

何このギャル?

もしかしてついて来る気か!?


俺氏

「あ、あの…ストーカーさんですか?」


東雲

「ちげーし!

何も決まって無いならカラオケ行こーよ♪

ムシャクシャしてるしパーッと騒ぎたい気分!」


俺氏

「カラオケとかそんなとこ

陰キャの俺が行くとでも思ってんだろうかこの耳ギャルさんは…」


東雲

「おい、声に出てるんですけど!?

行こーよぉ」


俺氏

「えぇ…シボチー的にヤンキーギャルとカラオケとか無いわ~」


東雲

「ヤンキー違うしっ!」


だからなんなんだよ!

このギャルは!

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