第23話 暗殺者セレナ

 私は街から出る前に視力強化を使ってみた。もし森の中で使って変なことになったら命が危ないからだ。使ってみた所、このスキルを発動するのに魔力は要らないことがわかった。そしてどこまで見えるようにするかは自分で調整できるみたいで今は普段の1.4倍くらいの遠さまで見えている。


 (見える距離は1+レベル×0.1なのかな?でも魔力使わなくて済んで良かったー。私魔力少ないから無駄遣いできないし。)


 私は視力強化を街中を散策しながら歩き回った。その最中に、小さい女の子が大きな男に路地裏に連れていかれるのを見つけた。女の子は涙ぐんでいて、逃げようとしている。


 (あれって誘拐だよね。なんで誰も気にしないんだろ。)


 私は気配遮断を使って男の跡をつけることにした。10分くらいついて行くと男は倉庫の中に入っていった。私は隣の建物から倉庫の2階に移り隙を狙うことにした。


 (移動速度上昇のレベル上げたけど、どれくらいの速さで移動できるんだろ。それに今のスキルだけだと心もとないよね。何か良いスキル無いかな?)


 私は一旦隣の建物に戻り、新しいスキルをげっとすることにした。


 「隙をついて仕留めるなら状態異常系がいいのかな?でも状態異常は耐性持ってる人もいるから効きにくいみたいだし…。一か八かやってみよう。ミスしたら切りつけて認識される前に速攻で離脱!」


 そうして私はスキルポイント400払いパラライズをゲットした。これで状態異常耐性までの道が遠くなってしまったけれど構わない。私は倉庫の2階に戻った。中を見渡す感じ見張りは3人で、子供が5人いた。どれも女の子で、女の子を囲むように見張りの男達が立っている。私は移動速度上昇を使った。


 (パラライズ。)


 私は男の近くまで降り、心の中で唱えた。


 「うぁっ。なんだ!誰だ!早くスキルを解け。」


 パラライズは効いたみたいだ。本当に運がいい。私は1人が痺れている間に他の1人に向かって走り出した。狙うのは首筋。自分でも思うがとても恐ろしい。


 「ぐはっ。」


 1人が体と頭がさようならして倒れた。それを見た女の子たちは震え上がってしまい、気絶する子やおもらしをする子もいた。その間にさっきまで麻痺していた男も回復した。


 「どこにいる!姿を見せろ!」


 「ここだよ。」


 私はもう1人の男の後ろに回り、耳元で囁いた。


 「ぎゃー。」


 叫んだ後男はそのまま沈黙した。このままだとどちらが悪者か分からない。なので声だけかけることにした。


 「お前たちが誘拐した子供を返してもらう。死にたくなければ武器を捨て、両手を上げて跪け。」

 「わかった。降参だ。」

 

 男は私の指示の通りにした。そして私も気配遮断を解除して男に近づいた。そして倉庫に落ちていた縄で縛ろうとした時男がナイフを抜いて私に飛びかかってきた。


 「死ね!あれ?」


 ドカッと大きな音がして男は倒れた。


 (移動速度上昇解除してなくて良かった。もうすぐで私死んでたよ。)


 私は男が動き出した瞬間近くの壁の近くに置いてあった椅子で殴りつけたのだ。そうして私は死んだ2人の男の死体を倉庫の壁に寄せ、気絶している男を柱にぐるぐる巻きにした。これでそう簡単には逃げれないはずだ。そして私は女の子達の方に向かった。

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