第22話 レインの個人探索

 僕はゴルドさんのお店を出て1番近くの森の中に入った。ここは僕達がゴブリンナイトと戦った森とは別の森で、出てくる魔物はゴブリンくらいで強くても魔法を使ってくるゴブリン程度らしい。多分怪我をすることはないと思うけど、慣れない剣を使うからちょっと心配でもある。魔剣の話は聞いたことはある。その話では魔剣はみんな違っていてそれぞれの個性のようなものがあるらしい。魔剣に気に入られたらより強い力を引き出すことが出来、嫌われると葉っぱすら切れなくなるそうだ。この子はどんな魔剣になのか早く試してみたくてしかたがない。こんなことを考えているうちに少し離れたところにゴブリンを見つけた。今回は3匹でそれほど多いわけじゃない。僕は盾と剣を構えた。今のところ何かが起きるわけじゃない。


 「行くぞ!」

 「グギャッ」

 「まず1匹。」


 不意打ちで数を減らしてそこからは盾でガードして隙を突いて剣で切るを繰り返した。剣は特別切れやすい訳でもなく、切れないわけでもなかった。そして、何も起こらないまま残りの2匹も倒してしまった。


 「何か発動条件的なものがあるのかな?とりあえずスキルポイント貯めながら考えてみよう。」


 そこからは単純作業だった。売れそうな薬草や果物を見つけたら取ってアイテムボックスに入れ、ゴブリンを見つけたらいつもの通り狩る。アイテムボックスはまだレベル1なこともあって、中の時間が止まる事はなかった。そして入る容量は大体30Lリュック1つ分くらいだった。アイテムボックスがパンパンになり、手持ちのカバンがパンパンになるのにかかった時間は大体5時間で、遭遇したゴブリンは20体だった。ゴブリンロードが居ることもあって全体数が増えてるのかもしれない。


 「変なのに出くわす前に早く帰ろう!」


 そうして僕は帰路に着いた。そこからは前回みたいにゴブリンの大群に会うことも無く、無事に街の門までたどり着いた。それにしても結局負けんの能力については不明なままだった。僕はその足で冒険者ギルドに行き、買取などを済ませた。そして宿に帰ったあとは魔剣について記憶を頼りにもう少し考えてみることにした。


 僕はあの時この魔剣に呼ばれたような気がした。僕を呼ぶって事は防御系のスキルでも持ってるのかな?でも剣だよね?防御系なら盾のはず…。剣の声でも聞こえたらいいんだけど。使ってるうちにわかってくるものかのかな?


 結局解決策的なものは思い付かず、しばらく普通に使っていくことにした。そうして旅に出て僕の初めての自由な日は終わった。

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