第15話 初めての依頼①

 俺達は夕食を食べ、部屋に帰ってきた。この世界ではお風呂に入ることができるのは上流貴族だけで俺達庶民は水浴びか、濡れタオルで体を拭くくらいだ。


 「私たち水浴び行ってくるね。」

 「レイン覗いちゃダメだよ。」

 「覗かないよ。」

 「俺達も水浴び行ってくるからそもそも覗けないだろ。」

 「じゃあ部屋の前に集合な。」

 「りょーかーい。」


 俺達はそれぞれ水浴びに向かった。別に特段変なことは起こらなかった。何かあって欲しいと思っていた訳じゃ無いがちょっとだけハプニングがあり、フィーネの裸が見れたらと思ったことは秘密だ。そうして、俺とレインは部屋の前に戻ってきた。それから3分くらいしてフィーネとセレナも帰ってきて、俺達は少し喋った後寝た。


 「おはよー。」

 「レイ君もう起きたの?早くない?」

 「 いやセレナが起きるの遅すぎるんだ。みんなもう起きてるぞ。」

 「えっ本当に?ごめんごめん。」


 セレナが起きたので俺達は下の食堂に向かった。厨房の前に列ができていたので俺達はそこに並んだ。


 「朝ごはんどんな感じなんだろ。」

 「私は軽めが良いな。朝から食べると動けなさそうだし…」

 「食っとかないともし何かあった時に困るぞ。アイテムボックスのスキルゲットしてたとしても入る量決まってるんだから。」

 「うぅ。わかった。食べとくよ。」


 「いらっしゃい。何人だ?」

 「4人です。」

 「あいよ。ちょっと待ってくれ。後5分くらいで次のが出来上がる。」

 「わかりました。ありがとうございます。」


 メニューはまだ分からないみたいだ。多分パンとスープだろうと俺は予想している。


 「次そこの4人組ー。」


 俺達のができたみたいだ。


 「ありがとうございます。」


 俺達は料理を受け取り、近くの空いてる席を見つけて座った。


 「パンにスープにソーセージか。パンも家で食べてたのより柔らかいな。あと5分って言うのはこれを焼く時間だったんだな。それにしても焼きたてを出してくれるとは良い店主だな。」

 「このスープめっちゃ美味しいよ。これならいくらでもいける!」

 「さっき朝は無理とか言ってたのどこのどいつだ?」

 「レイ!意地悪言わないの!」

 「わかったよ。フィーネもう食い終わったのか。早いな。」

 「そんなことないよ。私のが2レイのより少ないんだと思う。多分人によってちょうどいい量にしてあるんじゃないかな。」

 「言われてみれば僕とレイのスープの量とかソーセージの大きさとか違うね。これもスキルかなにかなのかな?」

 「へー。スキルでそんなこともできるんだ。さすがレイン!」


 「残念だがそれは違うぞ。」


 「うわっ。びっくりした。」

 「驚かせて悪かったな。俺はここの店主兼料理人のクロムだ。量が違うのはなんとなくの感覚だな。この仕事30年以上になるんだが、人を見たらどんぐらい食うかはだいたいわかるようになってきたんだ。」

 「凄いですね。そういえば自己紹介がまだでしたね。俺はレイ、こっちがレイン。そこでソーセージに食らいついてるのがセレナでもう食い終わってるのがフィーネです。何ヶ月かわかりませんがよろしくお願いします。」

 「おうよ。こっちこそよろしくな。」


 しばらくして、残りの3人も食べ終わり、俺達は冒険者ギルドに向かった。


 「やっぱり1番下のランクだと討伐とかはないんだな。」

 「街の掃除か猫探しか薬草取りがメインだね。」

 「私は薬草探しが良いな。」

 「俺もそう思うよ。フィーネとレインは何かしたいのあるか?」

 「僕はなんでもいいよ。」

 「私は猫探ししたいかも。」

 「猫探しはしてもいいが、俺達はこの街のこと全然知らないから俺達が迷子にならないか?」

 「それはそうかも。」

 「じゃあ薬草取りに決まりだな。猫探しはこの街に慣れてきたらしよう!」


 「すみません。これお願いしたいんですけど。」

 「はーい。」


 昨日登録をしてくれたローラさんだった。


 「あっレイさん達じゃないですか。確か昨日パーティー登録してませんよね?」

 「してませんが…」

 「じゃあ今しましょう!パーティー登録しとくと、こういう時に全員に昇格に必要なポイントが溜まるんです。ちなみにパーティーのランクはリーダーのランクになります。」

 「じゃあお願いします。リーダーは…」

 「いやそこはレイでしょ。」

 「うんうん。」

 「わかったよ。じゃあリーダーは俺でお願いします。」

 「はい。承りました。これからは私が皆さんのパーティーの担当になります。」

 「ローラさんよろしくお願いします。」

 「それとちなみに、薬草取りの依頼は常設なので受付まで持って来なくて大丈夫ですよ。」

 「そうなんですか。ありがとうございます。」

 「それじゃあお気をつけて。行ってらっしゃい。」

 「行ってきます。」


 そうして俺達は街から出て、近くの森に入った。俺達の初めての依頼が始まった。

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