第11話 冒険者ギルド

  この世界の冒険者ギルドには、受付やクエストボードのようなものだけじゃなく、酒場も併設されているようだ。冒険者ギルドには武器を持った屈強な男の人が多いイメージだったが、この街のギルドはそうではなかった。細マッチョとでも言うのだろうか。パッと見弱そうだが実は強いって感じの人が多い。そして、自分達とあんまり歳の変わらないであろう子達もいる。時間も夕方で、依頼が終わり、1杯やってる大人もいれば、薬草の入った袋を受付に提出している子供もいる。俺達はまず、ゴブリンの耳を売ることにした。


 「買い取りですね。何を持ってきてくれたんですか?」


 受付のお姉さんが聞いてくる。


 「ゴブリンの耳持ってきました。」

 「討伐依頼を受けてる訳じゃないですよね。ならどうしてゴブリンの耳を?」

 「今日住んでた村を出て、この街に向かう途中の道で出くわしたんです。」

 「そうでしたか。それは災難でしたね。冒険者カードをお願いします。」

 「すみません。僕達ここに来るの初めてでまだ冒険者カード作ってないんです。」

 「そうなんですね。冒険者カードを持ってなかったら査定額から少し引かれてしまいますがよろしいですか?それとも先に登録しますか?」

 「それじゃあ先に登録お願いします。」

 「わかりました。それでは、1番右端のカウンターにお願いします。」

 「わかりました。」


 「だってさ。行くか。」


 俺達はカウンターに向かった。


 「登録してるとしてないとで報酬が変わる事ってあるんだね。」

 「レインが知らなかったのは珍しいな。大概のことは知ってるのに。」

 「ううん。僕が知ってるのは街の外のことだからね。こういうことは知らないんだ。」

 「レインでも知らないことあるんだ。良かった。」

 「何が良かったんだセレナ。」

 「だってそこまで完璧だと私と…。ううん。なんでもない。」

 「セレナどうしたんですか?そんなに顔を赤くして。」

 「フィーネ黙ってて。」

 「おーい。そこまでにしとけ。着いたぞ。」


 俺達は登録用のカウンターで冒険者の登録をお願いした。


 「冒険者登録ですね。4人全員でよろしいですか?」

 「はい。お願いします。お金ってどれくらいかかりますか?」

 「お金はかかりませんよ。それではこちらにお名前と出身地、レベル、スキルを書いて下さい。鑑定する水晶があるので、嘘を書いても意味ありませんよ。」

 「わかりました。」


 俺達は言われたことを書いて、受付のお姉さんに提出した。


 「セレナさんとフィーネさんはこれで大丈夫ですね。レイ君とレイン君。嘘はダメですよ。すぐバレるんですから。」

 「決して僕達は嘘はついてませんよ。それが僕達のステータスです。」

 「まぁいいでしょう。どうせ全員水晶で確認するので。」


 受付のお姉さんが水晶を出てきた。少し凄く透明で、とても綺麗だ。


 「それではセレナさんから手をかざしてください。」

 「はい。」


 セレナとフィーネの2人の鑑定が終わった。


 「どちらもほとんど問題ありませんね。レベルが書いてあるより高くなっていますが、何かしましたか。」

 「あっ。ここに来るまでにゴブリンを何匹か倒しました。」

 「それでですね。レベルが上がったことに気づいていなかったということで、それは問題ないでしょう。それでは次はレイン君お願いします。」

 「はい。わかりました。」


 鑑定結果を見て、受付のお姉さんがしばらく固まった。


 「本当だった。」

 「あのー、何か問題ありましたか?」

 「いえ。ただ驚いてしまっただけです。疑ってしまいすみませんでした。」

 「いえいえ。頭を上げてください。」

 「それでは気を取り直してレイ君お願いします。」


 次の瞬間受付のお姉さんが白目を剥いて気絶してしまった。人には見せてはいけないような顔をしている。せっかくの美人が台無しだ。しばらくして目を覚ました。


 「お見苦しい所をすみません。2人とも本当のこと書いいたんですね。心からお詫び申し上げます。それでは次に行きましょう。次は戦闘試験です。基準は持っているスキルに合わせるので気にしないで下さい。」


 やっぱり実践での試験があるのか。


 「試験官してくれる方いますか?」

 「誰もやらねえのか?じゃあ俺がやらしてもらうぜ。」

 「マスターが直々にですか?」

 「何か不満か?お前があんな顔するんだからよっぽど面白いスキル持ってたんだろ?俺も見てみたいんだよ。お前ら俺に着いてこい。」

 「わかりました。」


 「マスターってこのギルドのトップの人だよね。そんな人に私達試験してもらえるんだって。ついてるね。」

 「でも僕怖いよ。これで落ちたらと思うと。」

 「レイン君にはあの防御があるじゃない。多分大丈夫よ。」

 「ありがとうフィーネ。」


 「よしお前ら着いたぞ。武器はそこにあるのを使え。刃は潰してある。だか気を抜くなよ。潰してあっても骨は折れるからな。」

 「「「「はい!」」」」

 「いい返事だ。まずはセレナからだ。」

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