第12話 冒険者登録試験

 「まずはセレナからだ。武器を構えろ。」


 セレナは逆手でナイフを握り、移動速度上昇を使った。このスキルは、1分毎に魔力を5消費し、移動速度を2%上昇させる。


 「よし。開始だ。」


 セレナの姿が一瞬消えたかと思った。セレナは開始と同時に気配遮断を使った。こちらも移動速度上昇と同様で、1分毎に魔力を5消費し、気配を薄くする。

 気配が薄くなり、その隙にセレナはマスターの死角に回りんだ。


 「もらった!」

 「甘いな。やるなら最後まで静かにやらんと。」

 

 そう言いながらセレナの腕を掴み、そのまま組み倒した。マスターの勝ちだ。


 「参りました。」

 「筋は良いな。特訓の跡が見える。合格だ。」

 「やったー!合格だ!」

 「次はフィーネだ。確か君はバッファーとヒーラーをメインでやるそうだね。まずは俺に何かバフをつけてくれ。」

 「はい。」


 フィーネが鼓舞を発動した。


 「鼓舞か。結構良いスキル引き当てたな。初めの頃はこれがベストだ。うん。しっかりバフもかかってるし良いだろう。次だが、今から怪我人を連れてくるから、そいつの治療をしてみてくれ。」

 「わかりました。」


 マスターが怪我人を連れてきた。そしてフィーネが回復魔法を掛ける。


 「ヒール!」


 本当は詠唱なんてしなくてもいいが、フィーネ曰くこちらの方が結果が良いらしい。


 「初級のヒールか。ヒールにしては出来が良いな。魔力はどれだけ使った?」

 「10使いました。」

 「少ないな。上出来だ。後は…まぁいい。これだけできてれば大丈夫だ。合格!」

 「やったー!私も合格!」


 そう言いながら俺に抱きついてきた。フィーネは嬉しいことがあると抱きつく癖でもあるのか?


 「良かったじゃないか。次はレインの番かな。」

 「あぁそうだ。だがそこの2人はペアで組んで戦うんだろ?それなら2人でかかってこい。」

 「「わかりました。」」


 「よし。あれをやるぞ。」

 「うん。守りは任せといて。」


 俺は剣を構えた。そしてマスターに切りかかる。しかし意図も簡単にそらされてしまう。そしてマスターが俺に向かって蹴りを入れてくる。


 「スイッチ!」


 俺は入れ替わりのスキル使った。近くで待機していたレインと入れ替わったのだ。レインとは練習の時から、俺がスイッチと叫んだら、防御を固めて入れ替わるということをやっていた。今回は結界を張っていたようだ。


 「何!これがユニークスキルか。」

 「そこっ!」

 レインがシールドアタックを、俺が突きを放った。しかしその攻撃は当たることは無かった。気づいた時にはマスターは俺の後ろにいたのだ。


 「スイッチ!」

 「その技はさっき見たぞ。」


 俺とレインが入れ替わる。レインは今度はマスターの剣を生身で受けた。今回は金剛力を使ったようだ。


 「ほぉー。金剛力とは珍しい。そこまでだ。俺を2回も焦らせたんだ。もちろん合格だ。レイお前も合格だ。だが太刀筋がまだまだだな。また来い。特訓してやる。」

 「「ありがとうございます。」」


 俺達は深くお辞儀をした。

 そのまま俺達はカウンターまで戻り、ギルドカードを受け取った。


 「簡単に説明しますね。冒険者の皆さんにはランクがあり、アイアン、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナの5つがあります。皆さんはアイアンからのスタートになります。そしてこのカードを無くしたときですが、再発行に銀貨5枚掛かり、ランクも1つ下がります。なので決して無くさないようにしてください。後言い忘れていましたが、ギルドカードは預金口座の引き出しや振り込みに使えますので、覚えておいてください。ちなみにもう口座は作ってあります。」

 「わかりました。」

 「これで登録は完了です。確か素材を売るんでしたね。素材を売る時にギルドカードを出して貰うと、口座に直接振り込むこともできるので、その時には言ってくださいね。」

 「ありがとうございました。」

 「おいお前らちょっと待て。俺はイオの街の冒険者ギルドのギルドマスターをやってるダレスだ。そんで、この受付嬢が」

 「ローラです。」

 「覚えといてくれ。」

 「ご丁寧にありがとうございます。」


 そう言って俺達は素材の買い取りカウンターに向かった。

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