イオ
第10話 道中
俺達が村を出てから大体3時間くらい経っただろうか。まだ道が土むき出しで歩きにくく、疲れてきたので俺達は休憩をとっていた。
『ガサガサ』
「レイ!」
「あぁ。分かってる。」
「レインどうかしたの?」
「さっき草むらから音がしたんだ。だからみんな一応武器を持っといて。僕が見てくるよ。」
「気をつけてな。間違っても叫んだりするんじゃないぞ。」
レインが様子を見に行ってくれた。本当はセレナの役目なのだが、もし魔物だった時、今のセレナじゃ逃げきれない。それに比べて、レインは防御に関してはピカイチだ。いざとなったら金剛力を使って逃げることも出来る。
しばらくしてレインが帰ってきた。
「レインどうだった?」
「やっぱり魔物だったよ。ゴブリンが2体いた。」
「ゴブリンか。いきなり戦うのは怖いが、2体ならやってみても良いかもな。2人はどうだ?」
「私は賛成。お金もそんなに沢山ある訳じゃないし、街に行って売ったら串焼きのお金くらいにはなるかもしれないし。」
セレナはこんな時までお金のことを考えている。俺達の旅の資金は全てセレナが管理しているのだ。たまに抜けてるところはあるが、お金に関しては本当に優秀だ。
「私は怖いけど。でもみんながやるって言うならやるよ!」
「良し。決まりだな。フィーネ!みんなに鼓舞を頼む。」
「うん。」
「練習した通りにやるぞ。俺とレインが前衛、セレナはフィーネを守ってくれ。」
俺は剣、レインは盾、セレナはナイフを構える。
「行くぞ!」
俺はそっと近づき剣を横に振り抜いた。ゴブリンの首を切りつけることができ、1匹が絶命する。
『ギャッギャッ』
もう1匹のゴブリンが大声で鳴いた。仲間を読んでいるのかもしれない。
「仲間が近くにいるのかもしれない。レイン頼んだぞ。」
「うん任せて。」
俺はゴブリンに向かって走り出し、剣を斜めに振り下ろし斬ろうとする。ゴブリンは盾でそれを受け止め、棍棒で殴りかかってくる。俺はすぐさま後ろに飛び、それを避け、剣を突き出しゴブリンを串刺しにした。
「こっちは終わったぞ。」
向こうではレインとセレナが呼ばれて来た仲間と交戦している。レインがゴブリンの攻撃を受け止め、ゴブリンがバランスを崩しているところにセレナがナイフを振り抜き、確実に首を跳ねている。フィーネも槍を持ち、近くに来たゴブリンを叩いている。
「レイ君こっち手伝って。フィーネが1人になってるから一緒にいてあげて。」
「あぁ、わかった。」
俺はフィーネ所まで行き、武器の間合いの差を利用しゴブリンを撹乱しながら2人で倒していった。
それから5分位経ち、やっと全てのゴブリンを倒すことができた。俺もセレナもあちこちかすり傷だらけだ。
「回復するね。」
「このくらい大したことないって。」
「でもゴブリンの剣錆びてるし、病気になっちゃうかも。」
「わかった。お願いするよ。」
俺とセレナはフィーネに治療してもらい。先にゴブリンの死体を集めているレインの所に向かった。
「これってどの部位を持って行ったらいいんだ?」
「本には耳って書いてあった気がするよ。」
「さすがレインだね。」
「じゃあ集めるか。」
意外と数があり、集めるのに10分位時間がかかってしまった。
「みんな何個持ってる?俺は10個だ。」
「僕は4個」
「私達は2人で14個だよ。」
「かなり有るな。耳が全部で28個だから全部で14匹いたのか。ゴブリンってこんなにいるものなのか?」
「ちょっと待って。今本取ってくるから。」
「本持ってるのか?さすがレインだな。」
レインが本を持って帰ってきた。
「えっとねー。野良のゴブリンは5~6匹で群れを組んで行動する。って書いてあるよ。」
「なんか変だな。一応ここ離れるか。」
俺達はゴブリンの死体を地面に埋め、その場から離れた。そしてそのまま街に向かった。
「何とか着いたな。」
「早く体拭きたいよ。」
「セレナもうちょっと待ってよー。私だって我慢してるんだから。」
家の女子たちは、街に着いたことより、体のベタベタの方が気になるそうだ。
「それにしても大きな街だな。俺達の村の10倍以上の大きさがあるんじゃないか?」
「そうだね。門もすごく立派だし、カッコイイよ。」
レインは街の門に惹かれていた。
その後俺達は何事もなく街の中に入ることができた。この街の名前は、'イオ'と言うそうだ。親切な門番の人が、冒険者ギルドの場所や、宿屋の場所を教えてくれた。
「一旦この耳ギルドに持っていかない?」
「そうだね。そうしたらさっきの教えてもらった宿屋に行こう。」
フィーネの言葉に従い、俺達は冒険者ギルドにやって来た。
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