第27話 特訓、そしてまた特訓

「セルジ、あなたに実践していただきたい課題は2つです。たったこの2つを繰り返すことで、僕はあなたが、歴代ブリヤート族でも1、2を争う屈指の戦士になれると考えています」


 俺はセルジを背にしながら、干上がった湖の中へ滝のように流れ込む膨大な水流を見る。

 何となく懐かしく感じる音と水飛沫が、いつまでも俺を惹きつけてやまない。


(うんうん、この調子で水を注ぎこめば、今日中にはこの湖の水量は元に戻せそうだな)


「俺が…戦士に……。レ…レイン、ではその2つというのは…?」


 セルジの緊張が伝わってくる。

 きっとかなりの覚悟を決めているのだろう。

 俺はセルジの方に振り返る。


「まず1つ目の課題。無属性魔力による身体強化をしっかりと修得しましょう!です」


 セルジはその両目をカッと見開いた。


「…に…肉体の強化…?筋力の鍛錬をせずとも、魔法で肉体を強化できるというのか…?」


 やっぱり…。

 ブリヤート族はきっと魔法の基本のきも知らないんだな。

 けっこうポピュラーな話だと思うんだが、他国と交わらず、民族の自立に重きを置いてきた結果だろう。

 もちろんそれがいい方向に働いている部分も多々あるのだろうが。


「できます。昨日僕は拳骨で、でっかい岩を粉々にしたでしょう?あれが無属性魔力による身体強化だと思ってください。それを修得すれば、セルジだって今の何倍も身体能力が向上します」


 母が右手を強化しながら俺ににじり寄ってくる状況を思い出し、ちょっと身震いする俺。

 セルジはセルジで、右手で拳を作って口元に当てがいながら、何やら考え込んでいる様子。


「…それではもしや、父上のあの鋼のような肉体も、何らかの魔法で構成されているのか…?まさか父上は何かしらの意図があって、その事実を俺に黙って…」

 

 そんなわけあるか。

 なんか、セルジは肩に力入ってんなぁ。


「いやいや、あれは単に体を鍛えまくった結果でしょう。筋肉が付きやすい体質だったのかもしれませんし。どちらかと言うとホランさんに目を向けてください。おかしいと思いませんでしたか?あの細い腕で、バートルさんの見るからに強烈な一撃を難なく受け止めていたんですよ?」


 俺はさっと腕立て伏せの姿勢をとり、バゼルのいかつい顔真似と声真似で話を続ける。

 ふっ…社員旅行という戦場で鍛えられた、俺の宴会芸をくらうがいい!


「ぶぷっ!それは父上の真似か…?くっくっくっ…笑わせないでくれよ…。しかしそういうことだったか…。俺は単にホランは戦士だから、力が優れていて当然だと思っていたが…」


 バゼルの顔真似が受けたようで、セルジは少し緊張がほぐれた様子。

 リラックスしてないと、できるもんもできませんぜ、兄貴。


「そしておそらくバゼル殿やホランさんは、無属性魔力による身体強化を、無意識のうちに天然でやっているんですよ。すごいセンスですよね。だから誰も彼らが魔法使いだなんて気が付かないし、自覚することもなかったんだと思います」


 腕立て伏せの姿勢から今度は逆立ちし、そのままくるりと回転して立ち上がる俺。


「さてここからが本題です。仮にホランさんの潜在魔力を10と仮定しましょう。そして意図せず5の魔力を闘いの中で使っていてあの強さ。ではではセルジ、あなたの潜在魔力を仮に200と仮定し、その全てを闘いの中で使えるとしたら…単純に計算してどれくらいの強さになると思いますか?」


 俺はニヤリと笑みを浮かべセルジを見た。


「い…1.5倍くらい強い…か?」


「よ…40倍ですよ。どういう計算ですか1.5倍って…」


 おいおい、計算に弱い子かよ。

 スーパーカップ麵増量中じゃあないんだからさ。


「さ…ささささ算数は、に…ににに…苦手なんだ!そもそも戦士に算数は必要ないからな!」


 セルジは赤面しつつ、憮然とした表情をする。


 いやお前戦士じゃないし。

 魔法使いだし。

 という突っ込みは、あえてしないでおこう。


「しかし、レインは俺の潜在魔力が200と言ったが…。俺なんかが、あの抜群のセンスを持つホランよりもたくさんの魔力を持っているなんてことがあるんだろうか…」


「まあそれはあくまで仮定の数値ですからね。ただ魔力がなければ鍛えればいいだけの話ですよ。潜在魔力というものは増やすことができます。それは既に僕自らの身体で実践済みですから。セルジもさっきの…えーっとピュアウォーターでしたっけ?使い続けるうちにどんどん長く使えるようになりませんでしたか?」


 セルジは自分の両手の平を見ながらハッとした表情を浮かべた。


「そ…そう言えば…。確かに最初は2、3回使えばヘトヘトになっていたが、最近は丸1日ぐらいなら十分に使うことができていた…。あまり気に留めていなかったが、これが潜在魔力が増えるということなのか…?」


「そうです。そしてそれが2つ目の課題につながります。セルジには限界まで水魔法を使ってもらい、潜在魔力量をガンガン増やしていただきます!加えて水魔法を使う際の、訳のわからない詠唱も止めてしまいましょう!」


 そう言いながら俺は、右手の5本の指にそれぞれ水球を作り、ふわふわと浮遊させはじめる。


「お…俺にもそんな芸当ができるようになるのか…?」


 セルジは俺の指の水球を見ながら小さく呟いた。


「実は僕も、他の人が詠唱無しで魔法を使っているのは見たことがありません。また、色んな魔法使いの知り合いも、正直目を剝いて驚いていました」


「なに…?普通の魔法使いでも驚くようなことを、素人同然の俺が…?しかしそれは…」


 またもや下を向いて、どんどん声が小さくなっていくセルジ。

 おいおい、しっかりしてくれよ、兄貴!


「えいっ」


 パシャッ!


 俺はふわふわ漂わせていた水球の1つをセルジの顔めがけ、軽く投げつけた。

 顔を中心に、びしょ濡れになるセルジ。

 ぽたぽたと髪の毛から雫をたらしながら、俺の方を見て言葉を失っている。


「まだなーんにも頑張ってないのに、いや、始まってすらないのに既に諦めモードですか?そんなことでは、共に妹を護る兄貴同盟からは脱退してもらわないといけませんね?」


 一瞬目を見開くセルジ。

 しかししばらくすると、フッと気の抜けたような笑みを浮かべた。


「ふふ…あっはっはっは!確かにレインの言うとおりだ。まだ何にもしていないうちから不安になっても仕方がないな!すまなかった。何だかスッキリしたよ。レイン…俺はなんでもやるぞ!どんな苦しい特訓にも耐えてみせる!!」


「ふふふ…それでこそ兄貴同盟加盟者番号1番のセルジ。では早速、無属性魔力による身体強化からスタートしましょう」


 まあ、セルジには悪いが、ここで俺が誰かに魔法を教えるときのプロトタイプになってもらうとしよう!

 もしかしたら、エリーに魔法を教える時が来るかもしれないしね!!


「…そういえばレイン…。なんでもやると言ったそばから申し訳ないんだが…」


「はい?どうしました?」


「ふんふんと頷いてはいたのだが…無属性魔力というのは、そもそも一体何だろうか…?」


 ですよねー。

 こりゃ前途多難だわ。


 引きつった笑みを浮かべた俺の頬を、一筋の汗が流れていった。


 ※※


「だだいま戻りましたー」


 俺とセルジは日が落ちてしばらくした後、ブリヤート族の集落中央部分にある、族長バゼルの住居に戻って来た。


「おお、レイン殿!戻ったか。して首尾は…おお!?セ…セルジの奴どうしたのだ?」


 バゼルが驚くのも無理はない。

 セルジは俺との和気あいあいとした特訓で、ついには疲れ果てて動けなくなってしまった。

 俺はそのセルジをおんぶするような形で、テントに入ってきたのだ。

 その様子を見て手伝ってくれたバゼルと俺は力を合わせ、セルジをベッドの上に寝かせた。


「あ…兄貴…大丈夫かよ…?」


 ホランも心配そうにベッドに横たわるセルジに声を掛ける。


「だ…大丈夫…だ。俺は…絶対…強く……な…」


 グオーグオー。


 セルジはそのまま一瞬で眠り込んでしまった。

 もはや返事をしないただの屍のようだな。

 訓練が相当こたえたのか。

 ちょ…ちょっとやり過ぎたかな?


 実際セルジは魔法使いとしての筋がかなり良かったように思う。

 なまじ前知識がなかった分、変に常識に囚われないため、それが逆に功を奏したのかもしれない。

 何度も何度も休まずに魔法の訓練を繰り返させた結果、なんと今日1日だけで、少しだけだが、無属性魔力で身体強化をすることができた上、最後には魔法詠唱無しに、小さな水球を作ることができたのだ。


「レイン殿…」


 じっとセルジの様子を見ていたバゼルが、俺の方へ向き直る。

 その目は真剣そのもの。


 ひぇ…。

 お前ちとやり過ぎちがうんか!?とかってぶん殴られるか…?


「改めて礼を言う。本当にありがとう」


「え…?」


 俺のぶん殴られ予想に反して、バゼルは深々と頭を下げてきた。


「セルジの奴…これまで見たことがないような、いい顔で眠っとるわ。よっぽどレイン殿との訓練が楽しかったのだろう」


 筋肉モリモリ強面スーパーマッチョマンのバゼル。

 この時のセルジを見つめる優しい顔は、ブリヤート族の族長ではなく、まぎれもなく、ただ1人の父親としての顔だった。


「ああ…。なんか昔を思い出すよな」


 ホランの横顔が、パチパチと音を鳴らす焚火に照らされる。

 昨晩、悲しみの涙に濡れていた横顔とは対照的だ。

 慈愛に満ちたその優しい眼差しに、思わずドキッとしてしまった。


「あたしからも礼を言うよ。ほんっと、ありがとな!レイン!!」


 バチン!バチン!!とホランに背中を連発で叩かれる俺。


 ぎゃあ!?前言撤回!!

 痛いよ!痛い痛い!!

 自覚がないだろうけど、お宅の手は天然で強化されてるんだからね!

 ゆるふわ母にビンタされたケツがうずくじゃないか!


「いててて…まあ今しばらく時間をください。セルジは強くなれます。絶対に」


 背中をさすりながら、半泣きでバゼルに答える。

 俺は、バゼルやホランが天然で魔法を使っていることは、本人たちには特に伝えなかった。

 俺自身はセルジの訓練を任されただけだし、そういう民族の沽券に関わるような重要事項は、セルジが強くなってからみんなに伝えていくべきことだと思ったからだ。


「うむ、恩に着る。何から何まですまぬ、レイン殿。ささ、夕食を用意させている。しっかり食って明日に備えてくれ」


 美味しい食事を頂いた俺は、モフモフシロちゃんと一緒に眠りに着く。

 あったかーい…むにゃむにゃ…。


 こうして訓練初日の夜は、更けていくのであった。

 

 ※※


 明けて次の日。 

 再び俺たちは、昨日特訓を行った湖のほとりに向かった。

 俺の計算では、既に湖の水は満タンになっているはず!…だったのだが。


「あれ…?」


「こ…これは…!?」


 俺とセルジの視界に飛び込んできた光景は、想像していたものとは全く異なっていた。


「水が…無い…?」


 むむむぅ…これはいくらなんでもおかしい。

 昨日最後まで確認しなかったとは言え、あれだけドバドバ水を注ぎこんだってのに、まさかまたもやすっからかんとは…。


「レイン…これは一体…」


 セルジが顔を俺の方に向けてつぶやいた。

 その時。


(———————!)


 視線…?

 どこからか見られている…のか?

 なんのために…?


(むぅ…この視線の主と水の枯渇は、やっぱり無関係ってわけじゃあないんだろうな…)


「どうした、レイン」


 セルジが心配そうな表情で俺を見る。

 俺は少し思考を巡らせる。


(…今はまだ伝えるべきではないな…。セルジが訓練に集中できなくなる可能性もあるし…最悪の場合…)


 攻撃されることだってあり得る。


「いえセルジ。せっかく頑張ったのに湖がまたもや空っぽになってしまい、些かショックを受けただけです。なかなか一筋縄ではいかないものですね。まあ今は訓練に集中しましょう!」


 俺は笑顔でセルジにそう言った。


「そ…そうか、承知した。お前がそう言うなら、そうなのだろう」


 セルジは若干戸惑いつつも、訓練の方に意識を向けてくれたようだ。

 しっかし誰だ?

 俺たちの訓練を邪魔する奴は…。

 というか、意図的にブリヤート族の生命の源とも言える湖を狙う不届き者は。


「では気を取り直して、セルジ。昨日の復習から始めましょう。まずは無属性魔力での身体強化をお願いします」


「よし……いくぞぉ!」


 むむ。

 ふと前世での往年のシンガーソングライターの名前が浮かぶ。

 すまんセルジ…俺はこういうフレーズで、ついついつまらんダジャレが頭に浮かんでしまうんだ…。

 ぷぷっ。

 真面目に訓練してくれているのに本当にすまん…ぷっ。


 頭の中の思考とは裏腹に、俺は難しい顔をしながらセルジを見る。

 すると。


「心は空っぽ…、思考も空白…。透明の魔力を感じて…」


 セルジの身体に無属性魔力が満ちていく様子が伝わってくる。

 きっとエルあたりなら、もっとよくわかったりするんだろうが。


 俺はセルジに対するアドバイスとして、魔法は明確なイメージが最も重要だと伝えた。

 セルジはそれを自分自身でかみ砕いて考えた結果、無属性魔力は「空っぽと透明」と定義づけたらしい。

 成程なるほど、わかりやすい。


 しかし一般的な話として、そもそも無属性魔力での身体強化がきっちりできれば、詠唱無しで魔法を使うのだってほぼ同義だと俺は思うのだが。

 しかしながら、そこはこの世界の魔法に関する常識がそういった発想を阻むのか、「魔法は詠唱を行ってなんぼ」と決まってしまっている。


 うちの母などとは、これまであまり真剣に魔法の話をする機会はなかったが、昔はいけいけどんどんの魔法使いだったらしい。

 もしかしたら、ちょっと教えたら「あらぁ、これは便利」とか言いながら火炎放射器みたいにガンガン火の魔法を使いだしそうなものだが。

 野焼きに便利だし、今度それとなく伝えてみるか。


「ふぅ…。どうだ、レイン?」


 両目を閉じて、足は肩幅。

 肩の力も程よく抜けたセルジは、まさに自然体。

 それでいて、魔力は身体の隅々まで行き届いているようだ。


「はい、とてもいい感じに魔力が循環しています。あとはそれを何度も繰り返して、早急かつ円滑に行えるようにしたり、例えばぶん殴る瞬間だけ魔力を右手に集中させたりと、応用をきかせていくだけですよ」


「はは…簡単に言ってくれる」


 片目を開き、少し額に汗をかきながらセルジはぼやく。


「では続いて水球を作ってみましょう!」


 俺は右手の人差し指を前に出し、ぽよんっと、小さな水球を作ってみせる。

 セルジがため息とともに、「まったくお前は…」とつぶやく声が聞こえたが、気にしなーい。


「ふぅ…。魔法はイメージ…。明確で強いイメージが大事…」


 セルジは無属性魔力を一旦解除し、今度は水属性魔力を呼び起こす。

 そして俺と同じように右手示指を顔の前に上げると、魔力をそこへ集中させはじめた。

 すると。


 ぽよっ。


 セルジの右手の人差し指上に、小さいながらも、確かに水の球が顕れたのだ。


 ぃよし!

 今日も成功!!


「そう、そうです!そのまま、そのまましっかりと魔力を維持して…!そのままで何か水に関するイメージを固めてみてください。そのイメージを明確にしつつ、指に魔力に込めていくような感じです!」


 セルジの額から汗が噴き出し、頬を伝って地面まで流れ落ちる。

 頑張れ、頑張れセルジ!!

 そう俺が思った次の瞬間の出来事だった。


 バシャッ!!


「うおぉ!?」


 セルジの指の上の小さな水球から、突如、満杯のタライをひっくり返したような多くの水が噴き出し、俺やセルジをびしょ濡れにしてそれは消え去った。

 もちろん、頭の上にタライが落ちてくるような、ドッキリ的展開はなかったが。


「ぐはぁ…!…ハァ…ハァ…ハァ…!!」


 両膝に手を付き、肩で息をするセルジ。

 

 なんかすごい量の水じゃなかった!?

 すげぇじゃん!

 …めちゃびしょ濡れになったけど。


「す…すごいじゃないですか、セルジ!あんなに大量の水が噴き出すなんて…!!」


 思わず身を乗り出して、セルジに近づき声を荒げてしまった。

 うんうん…なんかこう、どんどん成長していく燕の赤ちゃんを見ているようで、嬉しいな。


 セルジは呼吸を整えながら、その場であぐらをかいて座り込んだ。


「ハァ…ハァ…ふぅ…。昨日レインが湖に水を注ぎこんだ魔法…あれをずっと心の中で思い描いていた…。ナイアガラ作戦…だったか?あの水球から流れ出した物凄い水の流れを想像して魔力に込めるようにイメージしたんだが…。結果として水が飛散した挙句、魔力もすっからかんになってしまったよ…」


 あぐらをかきながら両手を後ろにつき、まだ肩で息をするセルジ。

 残念そうな言葉とは違い、その表情はすごく明るい。


 成程…、そうかそうか…。

 途中で魔力切れを起こしたとはいえ、すごい進歩じゃないか…。

 これは俺が教えることなんて、もうほとんど無さそうだな。


「よしよし、ではもう1度。最初の無属性魔力の循環から繰り返して行きますよ?」


 俺は笑顔で、セルジに申し向ける。


「いや…もう魔力が…。ちょっとだけ休憩を…」


 セルジは額の汗を拭いながら、引きつった笑顔を浮かべる。

 それでも俺は、より一層爽やかな笑顔で、セルジに言う。


「休憩ってなんですか?ほら、魔力は昨日同様、僕から渡しますから」


 実は昨日、以前にエルフたちが実践してくれた魔力の受け渡しをセルジにやってみると、意外と簡単にできてしまった。

 光魔法で相手方の傷を治す時と同じような感覚で、魔力そのものを受け渡す。

 今まで考えつかなかったが、これも意外と一般的だったのかも知れない。

 俺もまだまだだわ。

 

 なのでセルジは、魔法訓練→魔力枯渇→強制回復→魔法訓練(以下無限ループ)を幾度となく繰り返す羽目になった結果、ヘトヘトなって帰宅、という流れになっているのだ。


「…いや…やはり集中力というものは、そんなに長くは続かないと誰かから聞いたことが…」


 セルジがその身をのけぞらせながら、言い訳がましく答える。

 

 はっはっは。

 ちょっと電波が悪くて、よく聞こえなーい。

 なんでもするんだろ、おい!


「はいはい、魔力を放り込みますよ!ファイトォ、いっぱぁーーーつ!!」


「あ゛ーーーーーーーーーっ!!!」


 セルジの涙ながらの叫び声が、枯れた湖にこだまする。


 そんなこんなで俺とセルジの修行の日々は、約1か月程度続いたのであった。

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