壁にめり込んだ男:6 分 析
その分、余分に得られるものも多いので、その精査には時間がかかるのだが、妙なことだった。
眼前に並ぶ紙幣からは、ほぼひとつの匂いしか見出せなかったのだ。それも、直前に知ったばかりのもの。
立場を考えれば、それがある事自体は不自然ではないが、それが不自然な程にありすぎる。
そして、あるはずのものが、なかった。
「あるか?ニール」
「・・・」
わたしは無言で答えた。
「そうか、ないか。発見者さん」
間を置かず、主人が矛先を従業員に向けた。
「は、はい?」
「あんた嘘ついてるだろ」
主人の言葉をきっかけに、デニさんの眼が完全に容疑者を睨むそれへと変貌した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます