壁にめり込んだ男:5 粒 影
わたしは、目を閉じ、口を一文字に結び、鼻腔から静かに息を吸い込んだ。
程なくして、わたしの
わたしの犬としての嗅覚によって形成された、匂いを根幹とする
その光景は、色彩形状の多様な粒が、ヒトやモノの造形を現す幻想的で捉え処のないもの、と言えば近いかもしれない。
「相変わらずシュールな絵面だな」
「あ、あのぉ、このわんちゃんは」
この時は聴覚も鋭敏となり、位置関係の補正に繋がっている。
左側の、銀色の針状の
眼前にある、同じく針状でくすんだ萌木色が主人だ。
既知の情報から始まり、
「そろそろだ。静かに頼む」
頃合いを見計らい、主人が注意を促した。
恩に着る主人。
では、始めよう。
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