壁にめり込んだ男:3 証 言
「チェックインは、昨夜の10時10分でした。記帳もしたので間違いありません。女性を連れてましたが、よく見ませんでした。朝方まで店番は私一人でした。凄まじい音が響いたのは、奥のランドリーでシーツ等の洗濯をしてた時です。それに次いで階段をかけ降りるような音も。受付から出た時には、音の主は外に逃げた後でした。追うのは諦めて部屋を見に行ったら、壁に埋まったお客を見つけた訳です」
従業員の男は、落ち着いて事情を説明した。
「では王警が来るまで、ここにはあなたと被害者だけ?」
主人が尋ねた。
「そうです」
「その間、現場のものに触ったりなどは?」
「いえ。そちらの刑事さんにも聞かれましたが、そんな事は」
「わん」
主人。
「ああ」
なるほど。デニさんが嗅ぎとったのはこれか。
探る価値はありそうだ。
「時間を記帳したといいますが、ノートの字は全て同じ筆跡ですね」
「記帳は私がしているので」
「なるほど。ところで、お手数なんですが…」
「はい?」
「被害者が支払った現金を見せてもらえますか」
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