序章:3 現場到着

 雨月3周りの2日目JadeiteDay~カルタディ区"レストヴィラ:ラムチョ"にて~


「何だ?部外者は入れないぞ」

 現場をうろつく探偵が煙たがられるなど、今や小説だけの事象と言われるが、例外はあるものだ。

「一応呼ばれてきたんだけど」

「呼ばれて?」

 王立警官は改めて主人とわたしを一瞥すると。

「失礼しました。現場は2階です」

「ありがと」

 レストヴィラ:ラムチョ。見るからに安値のラブホテルだ。

 一階は受付とラウンジで、奥に酒や煙草の販売機がある。

 受付脇の空いたドアの奥で、大柄な羊亜種パーメの男が警官から聴取を受けていた。ここの従業員だろうか。

 主人は左手にある階段に向かい、わたしも続いた。

 2階への階段は、幅も段差の奥行きも狭く、明らかに半獣体型ハーフハーフの種族への配慮が欠けていた。

「うわ。スパ姉さんが苦労しそうな階段だな」

 それはセクハラだぞ、主人。

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