序章:2 戌探偵と探偵犬

 雨月3周りの2日目JadeiteDay~カルタディ区を移動中の車内にて~


 わたしの名は、ニール。

 新米の探偵犬だ。

 肩書きの示す通り、わたしは犬である。

 狩猟犬の血統で、引き締まった肉体、肉厚な垂れ耳と栗色の毛並みが特徴だ。

 わたしは今、相棒と共にとある現場に向かっている。

 運転をしている細身の青年が、わたしの相棒にして主人。

 探偵セディ・スフレである。

 種族は戌亜種ウェアドだが、先天的な亜因子不足から亜人種の特徴はふさふさな焦げ茶色の耳としっぽ程度しかない。

 修行時代から組んでいたわたし達は、自立デビューして初めての雨季を迎えていた。

 西大陸リンドレアンは雨月の影響が強く、84日間雨月の間のほぼ全てが雲と霧により国中が覆われ、街では犯罪が増加する。

 不謹慎だが、我らにとってこの時期は、絶好のなのだ。

「そろそろだな」

 と、主人が呟いた。

 霧に覆われた通りの先に、妖しい光を放つ看板がかろうじて見てとれた。

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