序章:4 探偵事務所ルペワフル

 雨月3巡りの2日目JadeiteDay~キュフェナ区5番通りサンクストリート沿い 探偵事務所ルペワフルにて


 主人とわたしが勤める探偵事務所は、代理抗争以前からのいわゆる老舗である。

 3人の探偵が在籍するこの事務所に弟子入りする形で、主人とわたしはこの世界に足を踏み入れた。

 今日も、早朝のうちに我々は出勤した。

 古典建築の事務所は、雨期の濃霧に包まれるとなかなかの佇まいに見えた。

やんやあらセデセディさんニルニールさん。はよおはようございます」

 勝手口から入った我々を日だまりのような声が出迎えた。

 その主は、当事務所の事務員ミスコさんだ。鳥亜種ハピィの女性で、ボレス弁という珍しい喋り方をする。

「おはよう。何か依頼は?」

「わん」

「まだなにも。でも珍しき珍しい事が」

「それって?」

「ルレさんが来てるんですよ。こんなはさ早くから」

『---』

 我々はは思わず息を止めていた。

 お師匠がもう来ている?

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