結-2

 わたしは世界の真実に辿り着いた。

 蒼い空と濃緑の草原が広がるただそれだけの世界。

 多分でしかないが、ここはふたりがかつていた世界とはちがう場所のようだ。

 もしかすると、それよりさらに前の-

 と呼ぶべき場所なのしれない。

 わたしは一度後ろを振り向いた。平原の中に不自然に組まれた木材が、世界を繋ぐトンネルを象っている。

 それが無くなるという心配は特に抱かず、わたしはその世界の先へと足を進めてみた。

 草を踏みしめる音と平原を撫でる風の音。

 それ以外は何もないはずなのに、どこか満たされた気分をわたしは味わっていた。

 その心地よさに思わず、空を仰いだ時にわたしはを見つけた。

 いや、最初から見えていたけど、今ようやく認識できただけかもしれない。

 空に合ったのは、巨大な樹木世界樹だった。

 空の蒼に半ば溶けるように、巨大な幹が時を止めたように浮かんでいる。

 それを目にした時、わたしは気づいた。

 いや、この世界に生まれた時から既に知っていたことを、今ようやくのかしれない。

 そしてその言葉が、ごく自然とわたしの口からこぼれた。

「こんにちは。あなたは、夢ね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る