結-2
わたしは世界の真実に辿り着いた。
蒼い空と濃緑の草原が広がるただそれだけの世界。
多分でしかないが、ここはふたりがかつていた世界とはちがう場所のようだ。
もしかすると、それよりさらに前の-
真実すらも超越した原初と呼ぶべき場所なのしれない。
わたしは一度後ろを振り向いた。平原の中に不自然に組まれた木材が、世界を繋ぐトンネルを象っている。
それが無くなるという心配は特に抱かず、わたしはその世界の先へと足を進めてみた。
草を踏みしめる音と平原を撫でる風の音。
それ以外は何もないはずなのに、どこか満たされた気分をわたしは味わっていた。
その心地よさに思わず、空を仰いだ時にわたしはそれを見つけた。
いや、最初から見えていたけど、今ようやく認識できただけかもしれない。
空に合ったのは、
空の蒼に半ば溶けるように、巨大な幹が時を止めたように浮かんでいる。
それを目にした時、わたしは気づいた。
いや、この世界に生まれた時から既に知っていたことを、今ようやく思い出したのかしれない。
そしてその言葉が、ごく自然とわたしの口からこぼれた。
「こんにちは。あなたは、夢ね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます