書館のひとによる事語りの章

第1話 世界樹のはなし

 世界樹。

 それはすべてのはじまり。

 この世に存在する全ての根幹にして源泉。

 呼び名通り“彼女”は樹木の姿をしているけど、

 “彼女”が存在するあの場所はじまりの領域全てを含めて“世界樹”と指し示す場合もある。

 数多ある創作世界ワンダーは、全て世界樹と繋がっている。

 それは物理的、次元的なものというより、精神的なこころとの繋がりというのがいちばん当てはまる。

 時折、創作世界ワンダーの住人は眠りの中で、世界樹はじまりの領域を訪れることがある。鮮明な記憶を保った来訪者レヴたちから聞き取りを行った結果、多くのひとが、世界樹から伸びてきたと思しき草木で覆われた広大な廃墟をさまよう体験をしていた。わたしはそこを、世界樹に還元される途上の創作世界ワンダーの成れの果てではないかと推察している。

 けれど、それ以上に興味深いはなしは、体験者レヴたちが世界樹はじまりの領域で出会った少女の存在だ。わたしは見た事はないが、おそらくもう会ってはいるのだと思う。わたしが初めて領域へと足を踏み入れたあの時に。

 わたしはその少女を世界樹が見る夢デイドリームと名づけた。

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