結-1
日は明けて。
わたしは、切り札の場所に立っていた。
あの後、ふたりからはゆっくり、そしてじっくりとすべてを聞いた。
切り損ねた手札のことについてもとんでもない裏話があったのだが、それはまた別の機会に記すとして、わたしがここに来たのは、切り札としたここの真の姿を見定めるため。
あの時、わたしは見た。
黄昏時。薄闇に包まれた小路の奥に並ぶ木材のすき間。
零れ出る光の先にあったのは、澄んだ蒼空と、広がる平原。
この世界の嘘を確信したあの光景の前に再び立つわたしは、ふたりから受け取ったものを身に付けていた。
派手な柄のアイマスクが縫い付けられた帽子に、不思議な質感をしたストール。
世界の
ふたりは教えてくれた。
ここはこの
ふたりが
なら、この先にあるのは滅びゆく最中の
ふたりは戻ったことがないので、分からないという。
全くの未知。しかし、ふたりは止めることなく、餞別まで渡して見送ってくれた。
わたしの自由を尊重してくれたのだ。
ならば、もうわたしがすることは決まっている。
「…」
わたしは一度振り返ってこの世界の空を仰いだ。
お別れのつもりはなかった。ただ、何となくそれをしておきたくなった。
そして意を決し、木材のすき間を進む。今更いう事でもないが、この奥にはこの木材を取り扱うべき会社はない。完全に間仕切り代わりに木が並んでいるだけだった。
隙間の道は思いのほか長く、半分を進んだぐらいでやわらかな風が頬を撫でた。先にある世界に流れがあることを知れた。吸い込む空気も何か味わいが変わったように思える。高揚感が見せた幻かもしれないが、世界が移り変わっていく感覚がわたしの中に広がっていく。
そして、わたしは隙間を抜けた。
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