本-2
「何だと思う?」
父やんの話が一旦区切れたのを見て、母やんが弾んだ声でわたしに聞いてくる。
「…それって、父やんが創ってる小説かなんかの話?」
ここに来て、それが的外れな見解であることは分かってはいる。しかし、あまりにもな事実を一気にまくしたてられた事で、わたしの理解は遠く追いついていなかった。父やんがここまで饒舌に物事を話すところも珍しいことだったが、その言葉の端々に散りばまる聞き覚えの無い歴史と専門用語の濁流が今もわたしの頭の中に渦巻き、処理ができない。
「正確には、私が創ってるものの元となったものだな」
「ここは正直にパクッてるって言えば?」
「影響を受けているだけだ」
「とか言っちゃって、近隣の人の服装変えた時なんて、まんま倭国の柳家ブランドだったじゃない」
「服飾は苦手なんだよ。知ってるだろ」
そこに、混乱するわたしを呼び覚ます言葉があった。
近隣の人の服装を、変えた?
そうだ。さっきの話の中にも似たような表現があった。
それはどういうこと?
「ちゃんと段階を踏んで説明したかったんだが…」
「いいんじゃない?だってそれしたらあそこからさらに長いでしょ?史上最初の第四宣言。神狩りの時代。
まだ序盤も序盤だったってこと?気になる見出しだったけど、先の問いへの答えを優先した。
「言葉通りだ。覚えてるか?小さい頃だが、この辺りの人はいつも決まった日に同じ服装をしてるねって言われて少しまずいと思ってな。それでちょっと服の流行りだけを調整したんだが、少し参考にしたのが悪かったみたいでな」
あれは、父やんの仕業だった?じゃあやっぱり、父やんは偽物側の人間じゃない。
「ええ。むしろ、わたしたちこそが本物」
「この世界は、私たち二人で作った
世界を創った?
つまりは神様?
「神様とは呼ばないわ」
「創作者、もしくはア―ゼンノア。そう名乗っていたよ」
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