第9話 宿神のはなし

 宿り子やどりこは外見や行動に微妙な差異があるのみで基本的には無個性な存在。

 命の流れを生み出し、同じ場所に長期間居つくことはないのだけれど、時に特定の場所を気に入ってしまうものがいたりする。

 それをわたしは、"宿神やどがみ"と呼ぶようにした。

 宿神やどがみとなった宿り子やどりこは、居ついた場所の風土、風習、文化などを象徴する外見へとその姿が変えて、場合によっては体格も成長し、明確に性別が判断できるような容姿になることもある。

 命の循環から、それを見守る存在になった宿神やどがみも基本、友人メイトにしか見ることはできない。

 わたしは宿神やどがみへの変化のきっかけに、"場所"だけではなく"誰か"を気に入って好きになってしまった場合もあるのでは、と考えた。

 だからもしかすると-

 自分の理想を具現化したかのような相手が目の前に現れたりしたら、それはあなたを好きになった宿神やどがみかもしれないね。

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