第三十四話 それは無理❤️
「あ、葵さん……」
俺の前に現れたのは葵さんだった。
なんで、なんで葵さんが……。
「なんで……」
「そんなの、さっきから貴方の様子を画面越しで観てたけどヘタレすぎてそんなんじゃこいつを殺さないじゃん?」
「画面越し……どういうことだよ!?」
どうして、誰も知らないはずなのに俺と翔悟が屋上にいることを彼女は知っているんだ。
そんなことより、この人はただの被害者だ。
そんな人に翔悟を……。
しかし、彼女の目は本気だった。
その目からは『殺す』それだけが伝わって来た。
「葵、なんでいるんだよ……」と声を震わせながら言う翔悟。
その翔悟の顔を見てニコッと笑った。
その姿は完全に今までの彼女ではなかった。
次の瞬間……。
葵さんは翔悟の手にカッターを突き刺した。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ」と手を抑えてもがく翔悟。
「え? ……」
殺すんじゃないのかよ……。
そして、葵さんは翔悟の髪を掴んで「うるさい」と言ってほっぺを切った。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ」
「うるさい」
もう一度、葵さんは翔悟のほっぺを切った。
「ハァハァ……」
息が荒い翔悟。
当然だ、こんなに何度も激痛が走っているんだ。
それも、今までの殴りとは比にならないほどの。
なんで、なんで、なんで葵さんは翔悟を早く殺さないんだよ──ッ。
「もう、限界? 散々殺せ殺せ言ってたのにすぐこれ……」
「早く……殺せよ……」
すると、葵さんはいきなり笑い出した。
その姿はまるで悪魔のようだった。
「なになに? 強がってんの? 早く、『死ぬのが怖い』って言えばいいじゃん?」
「殺せ……」
「ほんとは……」
「殺せ……」
「だーかーら、怖いんでしょ? 『死ぬのが』」
葵さんがニコッとそう言うと次の瞬間、翔悟は頭を何度も何度も地面に向かって撃ち続けた。
「やだ、やだ、やだ……死にたくない……死にたくないよぉう……」
「何で、お前をすぐに殺さないか知ってる? それはね、たーくさん痛ぶった後に殺すからだよ」
そう言うと葵さんはスマホを取り出して翔悟に見せた。
そこのチャットには……。
『うわ、散々カッコつけてたくせにwww』
『さすがヤりちん翔悟。顔ダセェwww』
『死ぬなら早く死ねよ』
『しーね』
『しーね』
『しーね』
『しーね』
『しーね』
『しーね』
「やめろ、やめろ、やめろ……やめろぉおおおお」
「うるさい」
葵さんは翔悟の片目にカッター刺した。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」
「だから、うるさいんだってば」
こんなの、ひどすぎる……いくら翔悟が悪くても……。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」
翔悟は狂ったようによだれを垂らしながらそう言い続けてた。
「ぁあーあ、完全に私みたいに壊れちゃったね♪」
葵さんはそう言うと翔悟の首を強く握った。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"」
やめてくれ……そいつは俺の手で……。
「ねぇ、翔悟? 私ねあの日生でされてもしかしたら子供が出来てるかもしれないからその子に『翔悟』っ付けることに決めたんだ」
彼女はそう言いながらお腹を軽く揺すった。
「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"……やめろ……」
「ん?」
「それはやめろ……」
やめてくれ……。
葵さんは更に強く握る。
「やめてくれ……」
そう俺は言いながら腕を伸ばした……しかし既に遅かった。
葵さんは翔悟の腹にカッターを刺した。
「(じゃぁな、優斗)」
そう翔悟から聞こえた気がした。
その場で倒れる翔悟。
「それは無理❤️」
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