第十三話(翔悟)
放課後。
学校生活から一ヶ月が経った今。
俺は女不足だ。
最近は女どもが俺に群がらない。
つまんねぇ……。
ここ一週間、玲とも葵ともしてないし……。
ぁあー、ほんとつまんねぇ……。
すると、そこに優斗が来た。
「なぁなぁ……」とニヤニヤしながら言う優斗。
「どうしたんだ?」
「俺さ……玲と付き合うことになった……」
「へぇ……」と俺はニヤッと笑った。
ありがとよ、このタイミングで玲と付き合ってよ……。
そのおかげで玲は今まで以上に敏感になるだろう。
楽しみだ……。
「ここだけの話……まぁ、親友のお前には言っておくけどさ……俺、玲とした……」
「このやろう、俺より先に童貞捨てやがって」
どうだ? 俺の育ててきた玲は……。
ぁあー、これからが楽しみだ。
「え? お前ってとっくに捨ててんじゃ……」
「捨ててねーよ……」
「した」なんて言ったら、「誰とした?」などと聞かれるのがめんどくさい。
まぁ……お前の彼女とだけだよ……。
「悪い悪い。いや、これも全部翔悟のおかげだと思うんだ……」
「俺は何もしてねーよ」
俺がしたことは玲を育てたことぐらいだな。
「だからさ、出来るところまでは翔悟を応援する。告白する場面ぐらいはさ……」
「ありがとよ。ほら、再来週にキャンプ行くだろ? その時に告ろうと思ってる」
まぁ、夜空さんとなら簡単に付き合えるな。
ぁあ言う静かな人ほどムードさえ作っちゃえば堕ちるんだよなぁ……。
ちょろい。
「そっか!! じゃぁ、応援してる!!」
「おう!!」
そう言うと、優斗はカバンを握り走って帰って行った。
さぁーて、玲としようかな……。
ここ一週間の性欲も全て吐き出そうか。
そう思うと今すぐにでもしたい!!
そんな欲が脳内を駆け巡る。
俺はLINEを開いて玲に『西棟四階に居る』と送った。
そして、葵から。
『翔悟くん。今日、うちに来れますか?』と来ていた。
俺はニヤけた後に。
『まだ学校にいるから遅くなりそう…だから待っててくれ』と送った。
今日は二人とできるのか……。
ぁあー、俺はなんて幸せ者なんだ。
○
しばらくすると、玲が来た。
俺は机から立ち上がり「やっと来た……」と玲に近づくと。
玲は俺の両肩を押した。
「私……もう、優斗と付き合ってる……だから……もうやめよ……」
何言ってんだ?
こいつ……。
散々、俺としといて付き合ってるからするのやめるだ?
ふざけてんじゃねぇよ……。
お前は一生、俺の道具なんだよ。
俺は玲の顎を掴んだ。
「散々、『気持ちい気持ちい』言っててそれかぁ?」と俺は玲に熱くキスをした。
いつもなら、乗ってくる玲。
しかし、今日は違った。
玲はもう一度、俺の両肩を押した。
「だから、そういうのはもうやめよ……」
うぜぇ、うぜぇ、うぜぇ。
こっちは、女不足なんだよ……。
お前なんて、所詮顔と体だけの女のくせに……調子に乗りやがって。
「そうか……俺が間違ってたよ……」と俺は頭を下げた。
まぁいいさ。
どうせ、あいつのテクニックより俺の方が凄いことに気づいて戻ってくるだろ?
「じゃぁ、私……優斗待ってるから……」と空き教室を去る玲。
俺はイスをひとつ投げた。
バゴンと響く教室。
「くそ、くそ……くそ……」
そのまま、俺は床に尻をつけて床を叩いた。
こんなにムカついたのは久しぶりだ。
優斗が
きっと、それによっての嫉妬だよな……。
優斗……お前はいつも俺から大切なものを奪うよな……。
あの時も……。
○
あれは、中学ニ年の頃。
俺は初めての彼女を作ろうとした。
徐々に関係を作っていき告白まで持って行った。
「がんばれ!!」と応援する優斗と玲のおかげで成功する……そう思っていた……。
そして、俺は告白した。
「ーーさんのことが好きです……」
その少女は言った。
「ごめんなさい、私は優斗くんのことが好きなので……」と。
意味がわからなかった。
なんで、あんな普通の顔のただ性格が優しいだけの男を……。
○
いつもいつも、ずっと、優しいだけなのによ……。
なぁ、なんでお前は俺の大切なものを奪っていく……。
これ以上奪ったら容赦しない……。
そして、その日は葵の家に向かった。
俺は葵の家のインターホンを鳴らすと。
「やっと来た。今日、両親帰ってくるの遅いんだって。上がってください……」
「ああ」
俺は玄関に上がると葵にキスをした。
「ちょっと……」
「いいだろ?」
そして、俺と葵はリビングに向かいソファーに倒れ込んだ。
どいつもこいつもほんと、ムカつくなぁ……。
そして、俺は誓った。
絶対に夜空さんとすると。
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