第四話

ご覧いただきありがとうございます。

そして、【130000PV】突破しました。

たくさんの人に読まれてとても嬉しいです。

モチベーションのために少しでも面白いと思ったら、☆☆☆やブックマークお願いします。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 一時間目の授業が終わり、休み時間になった。


「あのさ、夜空さん? なんで、どこかに行っちゃったんだよ?」


 少し、夜空さんの顔は青白く調子が悪そうだ。


「………」


 しかし、返ってきたのは無言。


 どうして、そんなに男を嫌うのか?

 もしかしたら、過去に何かがあったのか?

 俺にはさっぱりわからない。

 でも、これだけは言える。

 "彼女を救いたい"と。

 別に翔悟の為とかではなく彼女の為に。

 彼女の学校生活を楽しくする為に。

 そして、青春をする為に。


 だから、俺は止まらずに。


「夜空さん、何か男に対して嫌な事でもあったのか? 確かに、男は変態で女のことをそういう風に見る事だってある。でも、それは全員という訳じゃない。だからさ、俺に教えてくれないかな?」


 でも、そうやって適当な言い訳をしてきっかけを作れればなと思っているんだと思う。

 そんな俺は卑怯者なのかもしれない。


 少しの間、沈黙が続いた後に。


「っ」と夜空さんの口が動く。


 そして、「ごめん……」と言いながら夜空さんは気を失うように倒れた。


 俺は急いで、夜空さんの腕を掴もうとした。


「なっ、夜空さぁーん……」


 しかし、手は届かずにそのまま夜空さんは床に倒れた。

 

 ただそこにはイスがガタンと倒れた音のみが教室内に響き渡り、周りの人たちは夜空さんに注目をした。


「ねぇ、夜空さん……夜空さん……」と俺は夜空さんの体を揺するが反応はなかったーー。



 保健室にて。


「ん……」と夜空さんは目を覚ました。

 

 俺は急いで、夜空さんに駆け寄り「お、起きたぁ……」と心配する。


 よかったぁ……。


 保健室の先生は今は出張で居ないらしく、担任から見張りを頼まれた。

 

 授業に出なくていいのはラッキーだな。


「いきなり、倒れて心配したんだぞ……」と夜空さんの寝ている布団を触ろうとすると、嫌がるように夜空さんは俺から離れた。

「これ以上は近づかないでください……」と俺を恐れるかのように言う夜空さん。


 いや、実際は俺のことを恐れている。

 一体誰が、なんで、どうして夜空さんをこんな風にさせたんだ……。


 そう思うと拳を握っている自分がいた。


「なぁ、俺は夜空さんが思っているような男じゃない……だからさ、お願い。俺はただ、少しでも夜空さんの力になれたら……」


 いや、嘘だ、ほんとは翔悟の為だ……。


「だからさ、お願い。教えてくれないか……?」


 やめてくれ……俺は嘘つきだ……。


 夜空さんと俺の間には長い沈黙が続く。


 そして、夜空さんの目からは大粒の涙が流れた。


「よ、夜空さん?」

「ごめんね……」と目から大粒の涙を手で拭く夜空さん。


 やっと、喋ってくれた……。


 その気持ちでホッとした。


「何がだよ? 俺こそごめんよ」

「え?」


 ぁあー、やっぱり翔悟の為にとかそういうのはもうやめよう。

 俺は俺の為にそして、夜空さん自身の為に。


「俺さ、ほんとは夜空さんとかどうでも別にいいんだ。ただ、俺の友達にさ夜空さんのことが好きな人がいてさ、その人の為に少し俺が夜空さんと関係を築けたらと思ってたんだ。でもさ、夜空さん……なんか、夜空さんを見ていると救いたくなったんだ……別にヒーローぶるとかそういうのじゃなくて……」


 言ってしまった……流石にこんなこと言ったら嫌われるよな。


 しかし、夜空さんは俺のことを何も言わずに。


「私さ、男が大嫌いなんだ……理由は言えないけどさ……」


 やっぱり、嫌いなんだ……。


「だからね、私は優斗くんをずっーと無視してたの……」

「そうか……」


 夜空さんの身体は少し震えていた。


 誰なんだ、こんなに彼女を可哀想にさせた人は……。


「私さ、あることがきっかけで中学は不登校だったんだ……」

「それって、夜空さんが男嫌いになったのと……」

「同じ理由……」


 なんでだ。

 なんで、こんな子がそんな目に合わなければならないんだ。

 彼女の中学生活を奪い、そして高校生活を奪おうとした奴は誰なんだ。


「そっか……だったら、俺が男嫌いを克服させるのを手伝う。俺になんでも相談してくれ……」


 俺がそう言うと、夜空さんの目からは大粒の大量の涙が流れた。


「わ、私……」


 俺は夜空さんを優しく包んだ。


「うん、どうしたんだ?」


 その後は暖かい時間が続いた。


 どうやら、夜空さんは昔学校でいじめにあったらしい。

 詳しいことは本人は教えてくれなかった。

 だから、俺は別に知ろうとは思わなかった。


「もう、大丈夫だよ。俺が隣にいるから……」


 でも、やはり夜空さんのことより翔悟のことを考えてしまう俺は異常なのかもしれなかった。



 翔悟はいつものように席に座り、周りには女子が集まっている。

 そんなところで退屈そうにしている。


 ぁあー、早く夜空さんと付き合い(突き合い)てぇー。

 頼りにしてるよ、親友優斗


 すると、そこに玲には及ばないが、かなり男子の間で人気のある美少女、春場はるば あおいが来た。


 周りには「葵、がんばれー!!」などと女子たちが集まる。


 そして、葵は翔悟に言った。


「放課後、いいですか?」と。


 翔悟はニヤリと笑った後に「ぁあ」と言った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る