最終話 "大好きな人"

 楽しい復讐の時間は過ぎていった……。

 2人がどんどんと壊れていく様子がとても面白かった。



「今日もあいつら、休みか……」と何にも事情を知ることない担任は呆れて言う。


 無理もないだろう……。

 だって、学校に来たところであの2人の居場所はないもの……。

 これで邪魔者は消えて、優斗も私だけを見るようになる。


 そう思うと興奮が止まらなかった。


「なぁ、優斗くん大丈夫だった?」

「そうそう、ほんと可哀想だよな……」などと、優斗の周りには人が集まっている。


 ぷー、私の優斗なのに……。


「あ、ああ。大丈夫だよ……」と優斗は笑顔で言う。


 でも、その言葉は嘘である。

 だって、ずっと信じていた人の裏切りによりできた穴はけっして復讐なんかじゃ埋まらない。


 だから、私はその穴を埋めるために優斗に私の全てを尽くすと決意した。



 私は玲さんの家のインターホンを鳴らす。


 しかし、誰も現れることはなかった。


 はぁ……。

 仕方がないなぁ……玲さんは。


 私はドアを開けて玲さんの部屋の前に立つ。


 そして、コンコンとドアを叩いた。


 ……………………。


「失礼しま〜す」と私はドアを開ける。

「なに? …………」と死んだ声で玲さんは言う。


 玲さんの髪は荒れに荒れまくり、隈もひどいかった。


「私だよ♪ 優斗の彼女の青空夜空だよ♪ そんな顔してると可愛い顔が台無しだぞ♪」


 その言葉を聞いた瞬間、玲さんは私に向かって枕を投げた。


「やだ……来ないで……」と声を震わせながら布団に覆われる玲さん。

「失礼だなぁ……優斗を傷つけたことは許せないけど、玲さんには感謝してるんだぁ……」


 私は玲さんの布団に座った。


 はぁ……ここで、翔吾としてたんだ……。

 

「な、何よ……」

「だってさ、玲さんのおかげで私は優斗と付き合うことができたし……玲さんのおかげで私は過去の私ができなかったをすることができたんだよ?」

「うわわわわわわわ」と耳を塞いで叫ぶ玲さん。

「他にもね、優斗とはいっぱい気持ちいこともできるし。いっぱい遊べるし。感謝しかないなぁ……玲さんには……だから、言わせてもらうね。"ありがとう"」と私は笑顔で言う。


 ほんとに感謝で気持ちがいっぱいだ。

 

「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」と目からは大粒の涙をシーツに流しながら泣く玲さん。


 そして、私は「じゃーね♪ さん♪」と手を振り帰ることにした。


 これで、感謝も伝えられたし。

 よーし、明日からは楽しい楽しい優斗とイチャラブ学校生活だぁ〜。


 そう思うと早く明日が来て欲しいと思った。



 そして、ある日。

 玲さんと翔吾は退学を余儀なくされた。

 学校では詳しいことを聞かされなかったが、きっと妊娠によってだということが判明されたため、私はそれが事実かどうか確かめるために玲さんの家へ向かった。

 インターホンを鳴らすと、玄関からは隈で死んだ顔の玲さんのお母さんが出てきた。


「何? 玲によう?」と少し怯えながら玲さんのお母さんは言う。

「はい、玲さんに会いにきました」


 だから、私は笑顔でそう返した。


「また来ちゃったよ。玲さん……」

「何しにきたの?」と前とは違い隈は酷いものの髪がぐしゃぐしゃではなかった。

「だいぶ、心が落ち着いたのね」

「まぁね、だって。私には【優斗】がお腹の中にいるもの……」とお腹を擦りながら言う玲さん。


 へぇ……ほんとに妊娠してるんだ……。

 ふふッ、やっぱり玲さんは面白いなぁ……。

 これだから、優斗を裏切った張本人なのに嫌いになれないなぁ……。


「そのうち、その子供も私が取っちゃうかもね……」と私は冗談半分に言って玲さんの家を出た。



 8年後。


 私には優斗との1人の娘ができた。


「名前、どうするの?」

「【玲】」


 はぁ……やっぱり、優斗も玲さんとなんも変わんないなぁ……。



 私はその言葉を聞いた瞬間に「いい名前!」と笑顔で言った。


 だって、私が壊した女そして、私が優斗と結婚するきっかけを作ってくれた最高の女の子。"大好きな人"と同じ名前だもの。


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【告知】

第三章に入る前に第二章【番外編】として翔吾と玲のその後を描くことにしました。

そのため、少し遅れる可能性があります。

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引き続き、『学年一の美少女で自慢の幼馴染が親友に寝取られたので復讐します!』を応援してくださると幸いです。

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