【番外編】『『さよなら』』

「産むよ。産んで【優斗】って名前にするんだ」


 そうだ、優斗が無理なら、優斗を作れば良いんだ。


 すると、翔吾は「なら、俺とお前の関係はこれまでだな……俺は引っ越してもう一度、高校生活をやり直す。まぁ、俺の顔ならまたお前みたいな可愛い人とヤれると思うしさ。じゃぁな!!」と帰っていった。


 ははは、私って何してんだろーー。

 気づけば、ヤり逃げ。

 そして、大好きな人とも別れた。



 その後、私は勇気を振り絞って、私が妊娠していることをまず母に伝えた。

 その子が優斗との子でもないこともだ。


「あのね……お母さん……私、もしかしたら妊娠してるかもしれないの……」


 すると、お母さんの目からは大量の涙が流れた。


「お、お母さん……」

「ごめんなさい、ごめんなさい……お母さんとお父さんね……優斗くんじゃない子としているの知ってるの……」と頭を抱えて伝えるお母さん。


 その言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になったーー。


 今まで、私と翔吾がしていたことを知ってる……なんで? 

 いつも、両親がいないタイミングを見計って翔吾を呼んでいた……ならなぜ?

 どのタイミングでバレてたんだろう……。


「いつ、いつから知ってたの……?」

「ずっーと昔から……お母さんとお父さんね。止めようとしてたけど……なんでだろう? お母さん失格かな? 全然止めれなかったなぁ……」


 全くだ。

 気づいてるなら止めてくれてもいいのに……。

 両親のせいで、私は子供ができてしまったんだ……そうに違いない。



 その後、私はお母さんの紹介で病院へ行き妊娠していることが発覚した。

 おろすかどうするか聞かれたが、私は笑顔でこう言った。


「出産します」と……。


 私は前向きに考えた。

 大好きな優斗と結ばれないなら新しい優斗を作って結ばれようと。

 家族として、ママと息子という関係でーー。


 その言葉を聞いた瞬間、お母さんは号泣した。


 初めは、その号泣が嬉しくてか? 嬉しくなくてか? わからなかった。

 でも、時が進むにつれてわかった。


 リビングにて。


「なぁ、玲。お父さんとお母さんはさ……離婚することにしたんだ……」とお父さんは深刻そうな顔をして言った。


 なんと、私のことが町内で知れ渡りその苦痛に両親は耐えきれなかったようだ。


 その時わかった。


 そうか、お母さんは嬉しくなくて号泣してたんだ……。

 でも、それも全部両親が悪い。

 なんで、教えてくれなかったの?

 私を「悪い子って」叱ってくれればよかったのに……。


「玲は私とね……」とお母さんが言う。

「うん!」と私は笑顔で言った。


 私には、結局何も残らないのか……。

 私のお父さんになる人も……みーんなみーんな……。

 

 その日、私は自分の部屋で泣き崩れた。


「ごめん、ごめん、ごめん……優斗、ほんとにごめんなさい……」


 でも、何故か頭の中には翔吾とした思い出が駆け巡る。


 やめて、やめて……優斗との思い出を流して……。


「優斗がどんだけ辛い思いをしてたのか、私には到底理解できないよ……でもね、やっぱり。私は優斗が大好き……そんな優斗を裏切ったこと……ほんとに後悔してる……」


 快楽に負けた自分が憎い。


 ただ、そう思うことしかできなかった。

 その日、私は涙が枯れるまで泣き崩れた。



 次の日、私は優斗に電話をかけた。

 もちろん、LINEはブロックされているためスマホにだ。

 

 出ないのが、当たり前だ……出ないはずだ……。

 こんな私と喋りたくないに決まってる……。


 しかし、3コールが鳴った後に。


『なぁ、玲……』と優斗が出た。


 やっぱり、優斗は優しいなぁ……。


『なんで、なんで、なんで出るの……私はもう終わりにしたいのに……』とスマホに大粒の涙が垂れた。

『謝るからに決まってるだろ?』


 そう、思いがけない言葉を聞き驚く。


『え? なんで……』

『そんなん、俺がチキンだったからさ、お前は翔吾としたんだろ?』


 違う、違う、違う……。


『だからさ、あの時の俺に代わって謝らせてくれ……』


 やめて、やめて、やめて……。


『ごめん……』


 その一言を聞くと涙が大量に溢れ出した。


『わ、わだちもごめん……』

『いいところで、噛むなよ……』

『ゔん……』

『だからさ、これで終わりにしようぜ。俺たちの関係をーー』

『『さよなら』』


 スッキリした……。



 しかし、そんな私には最後の最後にまた不運が訪れた。

 当然の報いだ。


 ある日、私が家に帰るとお母さんが『ごめんね、良いお母さんになれなくて』という紙を残し首吊り自殺をしていた。


 ぁあー、私からは愛する者も消え、両親も消えていった。

 ぁあー、最後に残ったのは……この子だけだよ……。


「"【優斗】"……」と私はお腹を触りながら言った。


 あの日、あの場所でもし私が翔吾としていなかったら……。

 もし、私が優斗と付き合って無かったらどうなってたんだろうなぁ……。

 きっと、私はこんな私にはならなかったんだろうなぁ……。


         ーENDー


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【あとがき】

第二章はこれにて完結です。

次回からは第三章『もしも、優斗と玲が付き合っていなかったら』の開幕です。

今しばらくお待ちください。

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