第八話

 夜空とLINEを交換してから2週間が過ぎた。


 しかし、これといってペンギンの話をするぐらいしかない。

 確か、翔吾は「LINEを交換したら次にデート」なんて言っていたな。

 「デートで上手くいけばそのまま付き合える」とも言っていた。


 そのため、共通の話題である『ペンギン』を使ってデートに誘い込む必要がある。

 だから、俺は水族館や動物園で『ペンギン』のイベントがあるかなと色々な水族館や動物園のホームページを見ていただそんなのはなかった。


「ダメかぁ〜……」


 俺はベッドに横になりながらもう一度、スマホで調べる。


 諦めるな……きっと、何か見つかるはずだ。


 そして、1時間ほど粘った結果……ついに『ペンギン』のイベントを見つけることに成功した。場所は『静浜水族館』だ。

 やはり、神もあいつらに天罰を下したいらしいな。


「これだ!」


 そのイベントの内容は、どうやら【期間限定】でペンギンと触れ合うことができるらしい。

 日本人は【期間限定】という言葉に弱い。

 そして、それだけではなく夜空と話していてわかった。

 夜空は【ペンギン】にも弱い。

 つまりだ、これはデートができるはずだ。


 あとは……夜空が遠慮しない様に、玲を納得させるだけだな……。

 どうせなら、翔吾には夜空とデートすることがバレて欲しいな。

 そうすれば、翔吾は落ち込むだろう。

 なんせ、好きな女子と親友である俺が一緒にデートだぞ?


 まぁ、お前もしていることだ。

 文句なんて言えないよな?


 俺はまず、玲にLINEをする。


『なぁ、玲?』

『どうしたの?』

『ペンギンのイベントがあってさ、夜空さんと行くって言ったら怒る?』

『それは、怒るよ! だって、好きな人が他の異性の人とデートするんだよ?』


 俺はその言葉を見た時に思いっきりスマホを殴った。


 お前が言うんじゃねェ……。


 幸い、スマホにはヒビが入らなかったが、物に当たるのは良くない。


「ごめんよ、スマホちゃん」


『だよな……でも、玲ってペンギンのことそんな好きじゃないだろ?』

『そうだけど…』

『だから、頼むよ。ペンギン好きとペンギン見たいんだよ』

『でも…』


 ぁあー、ほんとめんどくせぇ女だ。


『頼む……』

『絶対に変なことしない?』

『するはずがないだろ? 俺にはお前だけで十分だ』


 まぁ、嘘だけどな。


『わかった…』


 よし! ほんと、バカな女でよかったよ。

 とことんバカだなぁ〜、お前は。

 あとは、夜空にLINEするだけだ。


『なぁ、夜空?』

『どうしたの?』


 俺は夜空にURLを送る。


『これに一緒に行かない? (玲からは許可取ってます)』


 しばらくしてから……。


『え!? ちょー行きたい! ペンギンと戯れれる(*≧∀≦*)』

『じゃぁ、行こ! いつまでだ……って! 今週の日曜日まで!?』


 今日は土曜日だ。ってことは……。


『明日までじゃん!! ((((;゜Д゜)))))))』

『やっば……俺は行けるけど、夜空は?』

『うーんとね……今、確認します』


 頼む、行けますように!

 これで、行けなかったらだいぶきつい。


『行けますね!』


 俺はガッツポーズをする。


「よし! これはデカイ!」


『じゃぁ、明日駅前に10時集合でいいか?』

『わかった! 楽しみにしてるね』


「ふぅ〜」と俺は大きく息を吐いた。


 失敗は許されない。

 ここで落とせなかったら、次は無いと思う。

 がんばるぞ俺!

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