第七話(翔吾視点)
ここ2週間でどんどんと、優斗と夜空の関係が発展していっている気がする。
前までは挨拶と授業中で隣で喋る時ぐらいしか喋らなかった。
今では休み時間も仲良く喋っている。
あいつは、俺が夜空のこと好きなことぐらい前も言ったし知ってるはずだろ?
どうしてこう、邪魔をするんだ?
「なぁ……優斗?」
俺は優斗の席に行き話しかける。
また、こいつ夜空と仲良く喋りやがって……お前には、玲がいるだろうが?
「どうしたんだ?」
「ちょっと、いいか?」
「お、おう……」
俺と優斗は廊下に出る。
「なぁ、優斗? 俺が夜空狙っていることぐらい知ってるだろ?」
「ああ、知ってるさ。それが、どうしたんだ?」
知ってるなら、何故あんなに仲を深めるんだよ?
なんだ? 俺への見せしめか?
「いや……最近、お前変だぞ? 夜空とも仲良くなってるしさ」
優斗は少しニヤっとした後に。
「たしかにな……最近、俺は狂ってるかもな……」
な、なんなんだ……こいつは……。
先ほどの仕草といい不気味だ。
心臓の鼓動が速くなる。
その後、優斗は真面目な顔になり。
「今のは嘘だよ、そうか? 俺そんなに、夜空と仲良くなってるかな?」
「なんだよ、一瞬ビビったじゃねぇーかよ!」
良かった……夜空を狙っているわけではなさそうだ。
って、今……夜空のことを呼び捨てで言っていなかったか? ……前まで、「さん」付けだった気がするが……気のせいかな?
「まぁ、浮気だけはすんなよ! じゃぁな!」と俺は先に戻ろうとした時に。
「お前が言うんじゃねェよ」と優斗はボソッと呟いた。
「ん? どうした?」
「うんうん、何でもないや!」と優斗は作り笑いの様な笑顔で優斗も席に戻った。
しかしだった……やはり、優斗と夜空の喋っている姿を見ていると何故か、むしゃくしゃしてきた。
嫉妬というやつだろうか……?
あー、うざい、うざい、うざい、うざい。
そんな言葉が脳内を駆け巡る。
親友だということも分かっている。
でも、やっぱりお前は「うざい」よ。
それは、今から始まった話ではない。
優斗のことが「うざい」と思ったのは、中学2年生で初めて会った時からだった。
彼は人柄がとてもよく、困っていたらすぐ自分を犠牲にして人を助ける。
まさしく、ヒーローぶったやつだった。
それだけでも、ムカつくのにさらに学年一の美少女と言われていた、玲とも付き合っていた。
いつも、3人でいる時も2人はイチャイチャする。
俺はいつも1人だった。
そこからだろう。俺が、優斗を「うざい」と思い始めたのは。
○
「はぁはぁ………」
「はぁはぁ…………ここ3日連続だよ? はあはぁ……どうしたの?」
「んぁ? なんか、ムカついてな……」
だから、俺はこうやってお前の幼馴染で彼女としてお前への復讐をしているんだと思う。
「ぁあー! 次!」
「ぇえー! 少しは休ませてよ……」
「それは、無理」
「ちょっと……」
あー、ムカつく、ムカつく、ムカつく、ムカつく。
「休ませてよ」
俺はそんな言葉を無視した。
ぁあー、ほんと、ムカつくなぁ……。
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