世界

松長良樹

世界


 得体の知れない疫病ウイルスの流行。異常気象の到来。天変地異。


 そして核戦争と続いて人類はついに滅びようとしていた。




 荒涼と砂漠化した元大都会には鼠一匹生きてはいなかった。


 そして地球最後の人間が死んでしまうと、もはや全ての概念が消え失せた。人間の歴史も軌跡も何もかもを認識するものが存在しなくなった。




 陽だまりに一匹の奇形の蜥蜴とかげがいた。蜥蜴は汚染された大気でも平気だった。


 そして砂漠みたいな大地を縦横無尽に走り回った。




 ふと蜥蜴が動きを止めて空を見上げた。蜥蜴の感じた熱と光、大気。


 


 それこそが世界のすべてとなった。







               了



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世界 松長良樹 @yoshiki2020

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