第2話 大好きな彼女は愛されヒロイン
―――時は流れて昼食時。ランニング100周の苦行を終えた光輝は食堂の片隅で昼食も注文せずにテーブルにへばりついていた。
「はーっ、はーっ・・・。うぐぐ・・・、く、くるじぃ・・・」
「おーい?大丈夫かよ光輝?」
「ん? あ・・・ああ。さすがに100周はいかん・・・。最後は世界が変わるかと思ったぞ・・・」
「あー、お前頭は最強に良いけどそのぶん体力は絶望的だもんな? ほら飲めよ?」
テーブルの反対側に定食のお盆と共に腰掛けた男子が光輝に紙コップを差し出した。
「おお、
「は?逆になぜ男が男に飲み物奢ってやんなきゃならん?」
「む・・・、確かにそれははげしく同意だ・・・」
対面に座った男子生徒の名は
「お前だってひまりんにだったら飲み物どころか身も心も捧げるんだろ?」
「ぶっ・・・!? お、おま・・・」
太地にそう言われた瞬間、光輝が思い切りコップの水を逆流させた。コップの中で跳ね返った水で光輝の顔がびしょびしょになる。
「さっきの教室の茶番、笑ったぜ〜? 小学生じゃあるまいし拾ったノートを取ったって言うとかどんだけだよ!」
「ぐっ・・・。う、うるさい! あれは戦略的交渉だ。あれで彼女の弱みを握ろうとだな・・・」
「ったく、素直に構ってくれって言えばいいのによ・・・。もう3ヶ月だぜ?」
「わ、分かっている! オレだってその・・・、ひ、雛森さんの前で素直になれれば苦労はしない・・・!!」
「ホント、お前って勉強と魔法のこと以外じゃ不器用だよな?」
そう。彼女を好きになってもうかれこれ三ヶ月だ。常に成績トップ3を維持し、学園のエースとして君臨する光輝。そんな彼が日溜まりのような笑顔と優しさ、そして愛らしいその容姿から学園で皮肉にも三大美女として数えられる
太地の言う通り、光輝はこの三ヶ月、何一つとして彼女との仲を深められていない。それはひとえに今まで勉強や魔法の事以外、あまり興味を持たなかったからだ。それが今では寝ても覚めても彼女の事ばかり。
「はぁ・・・、雛森さんとどうしたら仲良くなれるのだろうか・・・」
「あれ?私の名前、呼んだ?」
「へっ!?は、あ・・・!?」
ふわりと漂う甘い香りと心を溶かすような柔らかい声に振り向けばそこには学園三大美女にして愛されヒロインと呼ばれる
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