第7話
橘 信司は子どもが苦手だった。
信司は今日は朝から店<猫様が主役>を開いていた。
すると、親子連れが現れた。
信司は親子の首に来店時間を書いた紙をぶら下げた。
「この店では猫様が主役です、お子様から目を離さないで下さい」
信司は笑顔で、親に釘を刺した。
注文は、パンケーキと紅茶のセットだった。
いつも通り、信司はパンケーキを焼き上げ、ヘタウマな猫の似顔絵を描いた。
すると、そのとき信じられないことが起きた。
「ぎにゃああああ!!!」
にゃーきちの叫び声だ。
信司は慌てて、台所から飛び出して様子を見た。
子どもがにゃーきちの尻尾をひっぱっていた。
「貴様! 何しやがる!!」
信司は子どもをにゃーきちから引き離すと、子どもの首根っこを掴んで叫んだ。
「猫様に手を上げる不届き者は子どもでも容赦しねえぞ!!」
親はあせって、子どもと信司の間に割って入った。
「子どものしたことですから。申し訳ありませんが、許していただけませんか?」
親の言葉に、信司は頷かなかった。
「そんなことは関係ない! 猫様を脅かす者は敵だ!」
信司の剣幕に子どもは泣き出してしまった。
「今回はみのがしてやるが、今後は出入り禁止だ。 よく顔をおぼえておいたからな」
信司は子どもにも容赦なかった。
信司はパンケーキと紅茶のセットをテイクアウト用に包んで、親子に持たせると店から追い出した。
「にゃーきち。痛かったですね・・・・・・私の注意不足で申し訳ないです」
信司はしんみりとした口調で、にゃーきちに話しかけた。
その日は、子ども連れのお客は断ることにした。
一日が終わった。
お客は、朝の子連れを含め12人だった。
信司は猫たちを優しくブラッシングして、その日の営業は終了した。
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