第8話
「だってほら、ユージ君は体が動かすのが好きそうじゃない? サッカーやるしさ」
ユージ君が苦笑する。
「いや~、急に電気の工事って言われても……」
私から視線を逸らし、回って来る寿司の方を見やる。
マナブ君は何も言わず、ガリを醤油で浸し、それを鯖の寿司に乗せて食べる。
(……微妙に通な食べ方するわね)
私の提案はあまり好評では無かったようで、そのままスルーされるかと思ったが、
突然、マナブ君が口を開いた。
「……やはり、寿司は産地直送に限りますね。 このイシカワ寿司はそこらの回転寿司とはレベルが違います」
「……えっ! あ、そうね」
寿司の話しかい!
てっきり、自分の仕事の話をするのかと思った私は心の中でツッコミを入れた。
「お子ちゃまはお寿司に夢中か……」
「別に、僕もユージもちゃんと働いてるんだからいいじゃないですか。 まだ始まったばかりで、僕が仕事を上手くこなせてないからすぐチェンジとか、よく分かんないです」
「ご、ごめんなさい……」
お子ちゃま、と指摘してキレたか。
遠回しに働いてない私の事までディスられた気がする。
ユージ君も乗っかる。
「そーそー、人の心配よりねーちゃんはどーすんだよ。 一ヶ月後にゃ、俺ら仕事軌道に乗ってシェアハウス出てくかも知んないぜ?」
「えっ! 嘘でしょ!」
今までは家賃を3人で折半していたが、それを一人でなんて到底無理!
一瞬で貯金が尽きてしまう。
「わ、私、どうしたら……」
「それは自分で考えて下さい」
シメのお茶を飲みながら、マナブ君がボソリと呟いた。
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