第2話  罪への報い

「は?」

 ちょっとまて、聞き間違いじゃないよな……。

 誰もいない静かな廊下で彼女の声がハッキリと聞こえた。


 だから間違えるはずはない、だとしたらなんで自分が告白されたんだ〜!!!!!


 考えてもわからず、彼女に聞いてみることにした


「あ、あの……どういうことでしょうか?」


 彼女はさっきよりもハッキリと

「ですから、私とお付き合いしていただけませんか?」


 いや、そうじゃなくて理由を知りたいんだけど!!


「いや、そうじゃなくて、なんで俺?……、この学校にきて話したこともなければ、顔も合わせたこともないと思うんだけど……」


 正直に言ってそこが疑問だった。

 なぜ彼女、木雀火帆は俺のことを知っている。

 どうして、告白なんかしてきたのか。


 すると彼女はこう言った。

「この状態じゃあ、わからないかな……?」


 そう言って、サイドに留めていた髪を前に下ろし、後ろで髪を束ねていたゴムをとりストレートにした。

 そして、前髪が目にかかった状態で俺を見上げてきた。


「これで、わかりませんか……?結月君……」

 そう言われて俺の中の記憶がフラッシュバックした。

 結月君……この呼び方、たしか……


「ゆ、結月……君、おはよう。」

 小学校のとき、同じクラスでいつも朝早くから席についていてよく俺におはようと挨拶を決まってしてきてくれた子だ。


 その子とはよく一緒にいた。

 一人で寂しそうにしている姿がほおっておけなくて、何度か一緒に遊んで、気づいたら俺の後ろにいつもついてきていた。いつになっても小さくて初めて会う人が近づいたら逃げてしまいそうになっていた……


「すずめ、か……」

 あのとき、彼女に対して呼んでいたあだ名で聞いてみた。


 それを聞くと彼女は嬉しそうに微笑んで

「そうだよ、小学校のときずっと結月君のそばで隠れていたすずめだよ……。」


 この言葉で完全に思い出した。

 六年生のときだけクラスが離れて、中学も俺らの地区とは別のところに行った。


 どうりでわからなかったわけだ。


 自分で理解をしたあと彼女が言葉を続けた。

「結月君、あの頃とは随分違うね、何かあったの……?」


 この言葉が俺の中にある傷をえぐり出した。

 中学であった出来事、頭の中でそれがループし始めた。

 その時のことを思い出し俺はその場でうずくまり心臓を抑え、冷汗が出ていた。


「ど、どうしたの!?大丈夫!?」

 心配そうに彼女が俺の顔をのぞき込む。


 そう言われても言葉を返せる状態ではなかった。

 そしてあのときの瞬間がフラッシュバックする……


「葉月!やめろ!!お願いだ!葉月!!……」


 その瞬間が頭の中で繰り返され俺は涙を流した後、気を失ってしまった。


 ただひとつの言葉を浮かべて……




 〜続く〜

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